セールメイキングします
こんにちは。
前々から記事にすると言っていたQuantumはいったん保留にさせてください。
というのも、仕事を辞めて自分でセールメイキングすることにした(している)ためです! ヨット馬鹿が高じております。。。
自分でセールをデザインして、作って、テストして、セッティングも出す。この一連の流れを勉強させてもらってます。
ゆくゆくは、自分が良いと思ったデザインでチューニングやらセッティングのガイドなんか出せたら良いですね。
使う選手に応じて、細かなセッティングのサポートもできればと。
コーチングも今まで以上に精度高く、再現性高くやっていくつもりです!
今までの記事は、コーチもなにもいなかった京大時代に、自分が試行錯誤して出した考えを書いてきました。
今は、高校ぶりに自分にコーチがつき(しかも日本最高レベル)、新たな知見を得、多くのことを発見しています。
なので、今の自分からこれまでの記事を見ると、もっとこう書いた方が良かったなあとか思うことがたくさんあります。こっちの観点から説明した方がわかりやすいやん、とか。
まあそれは置いといて、、、
今までの記事はそのまま残しておいて、自分が新たに学んだことをちょくちょくこのブログを通して共有していきたいと思います。
セールをデザインしてテストするとなると、ちょっと秘密みたいなとこもあるので全部をすぐにというわけにはいきませんが、
知識は共有されてこそ意味があると思うので、少しずつ出していけたらと思います。
葉山に住んで毎日のように海に出ているので、セールメイキングに興味がある方は一報いただければと思います。学生レベルだと考えようともしなかった部分で新しい発見がたくさんありますよ~。そして、それは理論に収まらず、レースですぐに使える実践力でもあります。
事業形態はまだ名言できませんが、世界に羽ばたくセールを作ってしまう可能性も感じています。
今週の全日本インカレも、毎日メディア船に乗っているので、絡んでくれたら嬉しいです。
それでは!

Quantum Sails抜粋 バングシーティングの人に向けて(ピンダウンタイミングとマストセッティング)
去年の11月の記事でQuantum Sailsを紹介するとか言いながらアフリカに行ってたりして時間が空いてしまいました。
もし待ってくれてた人がいたらごめんなさい。
全部を公開する時間がいまのところ取れなさそうなので、個人的に一番刺さった部分のみを共有します。
全部知りたいぜって人がいたら、直接連絡してください。
バングシーティングの人、必見の内容です!!!
バングシーティングのおさらい
まずはバングのおさらい。
上の記事でも書きましたが、強風になってきたときのデパワーには二種類あって、トラベラーシーティングとバングシーティングです。
その二つの細かい内容は、そちらの記事に譲るとしてバングだけおさらいします。
バングを入れるとどうなる?
まず吹いてきたときに、メインシートでデパワーするのがバングです。
要は、メインを抜いてヨットをフラットに保ちます。
ただ、メインを出すと、リーチがゆるゆるで深いセールになってしまいます。
これをバングで直します。
要は、メインが浅くなってリーチが閉じます。
なのでメインを出しても、綺麗なリーチを保てます。
この時に、気を付けることがあります。
それは、ジブの形です。
メインを出すと、メインシートテンションで保たれていたフォアテンションが下がります。結果、サギングしてしまいます。
サギングするとどうなるかというと、ジブのラフが深くなってパワーがついてしまいます。せっかくメインを浅くしてデパワーしようとしているのに、逆効果です。
また、サギングするとジブが後ろに移動するので、メインとの重なりが増えてパワーが増します(多分)。うらかぜポコポコみたいな。
簡単に言えば、バングシーティングをしてメインを出すとジブは汚くなるということです。
じゃあどうしたらよいのでしょうか?
フォアテンションを上げる
解決策は簡単でフォアテンションを上げればよいです。
要は、テンションを増し引きするか、ピンダウンするということです。
(サイドテンションも上がりますが、どうでもよいです。僕は20以上で8mとか走ってます。理由は前回の記事を見てください)
そうするとメインを出してもサギングしないので、綺麗なメインと綺麗なジブになります。
バングシーティングでピンダウンするのはこのためです。
いつピンダウンするか?
では一体いつピンダウンしたらよいのか?
これがQuantum Sailsに書いてあって、「ジブの一番下のテルテル部分のサギング量が親指三本以上になったら」らしいです。(笑)
ツッコミどころしかないですね。
まずサギングをどうやってみるか?
この方法を使うにはまず、フォアステイにつけているショックコードを、ラフワイヤーの根本につける必要があります。
言ってる意味わかるでしょうか。
ショックコードの上は巻き結びで、下をステムヘッドの一番前のピンにつけるということです。
そうすると、ラフワイヤーとフォアステイが一直線になります(サギングゼロの状態で)。
そこからサギングしたら、どれくらいサギングしてるかが、視覚的に確認できるということです。
次に親指三本ですが、これはアメリカ人のおっちゃん(たぶん)が書いているので、僕らの三本の1.5倍くらいを想定したらよいでしょう。
それくらいのサギング量になってきたらピンダウンしましょう。
これを忠実にやり始めてから、気持ちよく走れるようになりました。
もう一度確認すれば、風が強くなって、メインの出る量が増えて、サギング大きくなると逆にパワーがついてしまう。
だから、ピンを下げて、サギングをなくし、メインジブのオーバーラップを減らしてデパワーしようぜ!、それは親指三本やでってことですね。
レースの途中で風が上がってしまったら?
では、レースの途中で風が上がってしまったらどうするか。
もうお分かりかと思いますが、テンションを増し引きします。
サギングが減って走りやすくなります。
もちろん、ローレーキで走るのがBetterですが、対処療法としては、とっても良いと思います。
ちなみに、バングシーティングのときもトラベラーは出します。
100デパワーしないといけないところの50をトラベラーで出して、残りをメイントリムするみたいなイメージです。
そうすると、メインを出す量が減るので、サギングが減ります。
これも途中で風が上がったときに使えます。
もちろん、ピンダウンしてトラベラー出して、メイントリムが最善ですが。
バングシーティング時のマストセッティング
最後に余談で、マストセッティング。
レングスと、ディフレクション。
レングスはよくわかりません。諸説多すぎて、、、。
なのでここではディフレクション。
結論的には、ペア体重が重ければ大きく、軽ければ小さくです。
トラベラーをやる人のMaxがバングをやる人のminくらいの印象ですかね。
僕らはこの前の関東スナイプに出てましたが(7.8mくらいは吹いてた)、合計123㎏でレングス450、ディフレクション720で調子良かったです。マストはサイドワインダーです。
たしか現役の時も125㎏で720とかでした(コブラ)。
これで760とかにすると、船がまじで起きません。
曲がらん過ぎて。セールが深い。
これめっちゃ大事です。どんだけコントロールロープをいじっても変えられないので。
なので、沖に出て強風走って、どうしてもセールが浅くならないってなったらディフレクションを小さくしてみるのもありかと思います。
逆に重いなら、でかくしてパワフルに走ると、クソ速いはずです。
まとめ
まとめれば、バングはピンダウンしよう、サギングが親指三本になったらピンダウンしよう、レース中に風が上がったらテンション入れよう、バングでもトラベラー出そう、ディフレクションは体重で決めよう、という話でした。
またいつかQuantum紹介します~
わからんことは直接聞いて下さい(週末葉山に出没します)。SNSでも!
さいごに、Zimbabweの夕陽のせときます。

ヨットの第一原理って??
「われ思う、ゆえに我あり」
哲学に詳しくない人でもこの言葉は聞いたことがあるかもしれません。
近代哲学の祖であるフランスの哲学者、ルネ・デカルトが残した言葉です。
あらゆるものを疑って疑って疑いまくった結果、唯一残ったもの。
それが疑っているこの「私」でした。
デカルトは、「私」という主体を、全ての哲学の出発点に据えました。
要は、哲学の第一原理です。
迷ったら、ここに立ち返ればよい。すべてがここから始まる。それが第一原理。
なんでいきなりこんな言葉から記事を始めるのか?
それはヨットの第一原理について考えるためです。
まあぶっちゃけそんなんあってもなくてもいいんですけど、いろいろブログとか書いてて誤解されてしまっては元も子もないので。誤解されないためにもこの記事を残しておきます。
ゆーても、カッコつけたいだけですが(笑)。
前回の記事で、Quantumのガイドを紹介していきます!といいました。
その前に一つだけこの記事を挟んでおきたい。
いろんなヨットに関する知識に触れるときに、これだけは頭に入れておいてほしい、というのが僕が言うヨットの「第一原理」です。
結論を先取りすればそれはすなわち、
「速いか、速くないか」
です。
それだけです。
ヨット、とくに僕が記事を書いているスナイプって、速い人でもみんないろんなことを言いますよね。
それこそ前回の記事のトピックだったピンアップだ、ダウンだとか。いろいろ。
諸説が氾濫していますよね。
軽風のランニングって結局アンヒールとフラットとヒールどれが速いんでしたっけ??
クローズってフラットと微ヒールどっちが速いんでしたっけ?
とかもろもろ。
人によって違います、といってしまえば終わりだけど、ほんとにみんな言うことが違う。
僕が記事にしていることも、その諸説の一部にすぎません。
これにはいろんな原因があると思うんですが、二つか三つくらいに原因を大別できる気がしています。
一つ目は、ビルダーやマストやセールやら、みんなちょっとずつ違うことが多いという点です。年式によってビルダーが同じでも形が違ったり、そもそもマストの長さが違ったり、いろいろ細かな違いがあります。
そうすると当たり前に、こっちの船ではよかったのに、あっちでは遅いとか、そんなことがあり得ます。
これが諸説を生む一つ目の原因。
二つ目は、走るための要素が多いこと。
例えば、今日はフラットで走った方が良かったねとか言った時に、そもそも同じ日に同じ海面で走っていても、違う船に乗ってるし、体重も違うし、セールの引き具合もハンドリングの仕方も違うし、違うことが多すぎるし、風ももしかしたらちょっと違うかもしれない。
ってなると、片方に当てはまることがもう一方に当てはまらないこともある。
スピードをつくる要素が多いがために、難しくなっている部分があります。
全部が全部そうじゃないけど、実際同じコンディションなのに違う走り方をしていて、しかも同じくらいのスピードで走ってるということも、ありえる世界です。
これが二つ目。
三つ目は、スピードが大して変わらないこと。
二つ目と被るとこもありますが、スナイプはあんまり艇速差が出ないといわれてます(まじで速い場合は速い)。となると、ぶっちゃけ100点のセーリングじゃなくて95点くらいのセーリングしてても、なんか勝てたりしちゃうんです、それが「間違っていても」。
理論的に間違っていて、ざこいパフォーマンスであったとしても、大して差が生まれないのであれば、それを修正しようという気にはならないでしょう。慣れてる方でいいやって。
これが三つ目。
ということで、速い人が言ってることにもばらつきが出るわけです。
もちろん一致している部分もあるけれど、いろんな人がいろんなことを言う。
この記事を読んでくれている人も、きっと何か情報を得ようと思ってくれているでしょう。
ただ、重要なのは、合わなかったら捨てるということ。
上に書いた三つの理由で、僕が言ってることは、あなたにはマッチしないかもしれない。
もちろん、万人に当てはまることもあります(例えば、ヒールつけたらウェザーかかるとか)。
ただそうでない部分に関しては、自分たちで判断する必要があると個人的には思っています。
ではどうやって判断するのか?
速い人たちから得た情報を使うかどうかをどうやって判断すればいいのか?
その基準になるのが、第一原理です。
試してみて速ければ採用すればいい。遅ければやらない。
満足するまでマネして、それでも遅ければ、そんなものは続ける必要がありません。
どんな権威が言ったことであろうと、やる意味がない。
一番良くないのは、速いのか遅いのかわかってないのに、とりあえずやってること。
初めはそれでいいんだけど、すぐに頭打ちになる。
僕の所感では、二年目くらいからは、自分で試した結果、船が速くなったのか遅くなったのか、それを意識することが大事なんじゃないでしょうか。
極論すれば、理論的にどんだけ間違っていてもどうでもいいわけです。
クローズを20度のアンヒールで走っていても、速ければそれが正解です。
それが第一原理が意味することです。
意味がわからなくても、なんで速いのか説明できなくても、速いやつが勝つのがヨットレースですからね。
ただ、さっきもいいましたが、誰がやっても同じ結果になるものもある。
ラフしたけりゃヒールさせた方がいいですよね、たぶん絶対。
だからそこは守破離なわけです。守るとこは守らないといけません。それが固まれば、型を破ることができる。
破って離れるためには、速いか遅いか? それがわかる必要があります。
僕のブログで<基礎>とか書いてるのは、守に属していると考えてもらってよいです。
つまり万人にある程度当てはまる。
それ以外は、人によって違うこともある。
だから自分で試して選ぶ必要がある。わからなかったらとりあえずやる。
ブログなり本なりで情報を得ることも大事。だけどそれ以上に大事なのは、それを試してその結果、速くなったかどうか? それをわかったかどうか? じゃないのでしょうか。
練習で大事なのは、巷で言われてる「正しい」技術をこなすことではなく、考えることでもなく、試して、結果的に速いのか遅いのか、わかること。
これをスピード感覚といってしまってもいいけど、「感覚」という言葉を出すとすぐに生まれつきのセンスみたいな話になって、とっつきにくくなる。
動作練習やらスタート練習やらはするけど、スピード感覚を養う練習なんてないですよね。(笑)
ただ、もしも、速いのか遅いのかわかったら一瞬でうまくなれる気がしませんか?
ある程度の実力を持ったクルーがスキッパーに転向しても速いのは、それがわかっているからだと、個人的には思います。
スピード感覚という言葉に逃げず、何をしたら速いのか遅いのかわかるようになるのか?
この問題に真剣に向き合ってもいいのでは、と思います。
少なくとも、今まで考えられていなかった問題だからこそ、生まれつきとか、センスとか、経験でしか身につかないとか、そういった言葉で片付けられていたからこそ、真剣に取り組んだら面白い問題だと思っています。
ということで、このブログに書いてあることも、自分たちで取捨選択して自由に利用してくれればうれしいです。
わからんかったらいつでも連絡してください。僕でよければいつでも相談に乗ります。
ということで、雑感になってしまいましたが、次の記事からは、サンディエゴの「正解」を紹介していきたいと思います~
トラベラーはピンアップ、バングはピンダウンっしょ、これからブラジリアンスタイルを紹介してきます
こんにちは。
今日はちょっとした報告をしたいと思います。
内容的には、ちょっと上級者向けかもしれません。
スナイプワールドで1.2.4位を取った、アメリカのセールメイカー、Quantum Sailのチューニングガイドをこの記事以降、紹介させていただけることになりました。
会社の方からも許可を得ております。
Quantumは基本的にバングシーティングを想定しているようです。
日本にあるチューニングガイドは、ノースセイルのものが主流です。
僕も折に触れてこのブログで扱ってきました。
しかし、そのチューニングガイドには、バングシーティングよりもトラベラーシーティングの方がいかなるコンディションにおいても優位です、と書いてあります。
バング派の僕としては、困ってしまいます。まあほとんどは一緒なんですけど。(笑)
バングだったらチューニングって違うんかな、とか考えてしまいますよね。
違います。
オーバーパワーになった時のデパワーの仕方が違うからです。
当然、チューニングも変わってしかるべきです。
ではいったいどんなチューニングにしたら良いのか?
それをこの記事で簡単に説明していきます。
結論から言えば、トラベラーはピンアップ、バングはピンダウンです。
この記事は、Quantumのチューニングガイドに入っていくための序章的な扱いです。
トラベラーはどうやってデパワーしているのか?
トラベラーシーティングではどのようにデパワーしているのか?
これには二つあると考えています。
まず一つ目。
トラベラーを出すと、同じメインシートテンションのまま、ブームが下側に出ます。メインセールのシェイプを保ったままセールと風の角度=迎角を浅くすることができます。つまり、揚力がダウンします。これによってデパワーしている、というのが僕の考えです。
つまり、センタリングしてたら横方向にたくさんかかる力は、トラベラーを出すことで小さくなります。だからデパワーできる、というわけです。
メリットとして、メインシートが引き込まれているので、サギングしません。
メインを不用意に出してサギングしてしまうと、ジブが深くなってパワーが逆についてしまいますが、それを防ぐことができますね。
(基本事項として、メインシートを引くとフォアテンションが強くなります)
次に二つ目。
ブローに入っても基本的には、トラベラーを出して対処します。
このときに、マストがサイドベンドすることでもデパワーしています。スナイプのマストは柔らかいので、根本から曲がるため「サイドリーン」とも言うみたいです。
まあそれは置いといて、ブローが入った時にマストが横に曲がることで風を逃がしているというのが、トラベラーの二つ目のデパワー方法でしょう。
これを前提にチューニングについて考えてみましょう。
トラベラーのチューニングは?
トラベラーシーティングでは、トラベラーを出して、マストを横に曲げてデパワーしました。
メインシートは入っているので、サギングはしません。
では吹いてきたらどうするか?
マストを横に曲げたいので、サイドテンションを緩くしたいです。サイドが緩くなれば、当然フォアテンションも緩くなりますが、メインシートが入っているので問題ありません。
ただ、テンションを抜くと、レーキも下がってしまいますよね。
スナイプはだいたい6520-70とかで気持ちいくらいのヘルムになるようにできています。
テンションを抜けば、サイドテンションが落ちて走りやすくなりますが、レーキが低くなりすぎる問題が発生してしまいます。
なので、ピンをアップします。
ピンを上げてテンションを緩めに張る。
そうすれば、レーキを保ったまま、サイドテンションを落として走れるわけです。
トラベラーを出して、柔らかいマストで走れるということになります。
まとめれば、ピンを上げてレーキを維持したままサイドテンションを落として走る、というのがトラベラーの基本的な考え方です。
バングのデパワーは?
バングシーティングの場合は、メインを出して走りますよね。
そうするとトラベラーと違って、メインシートでフォアテンションを保てないので、サギングしてしまいます。
(よくバングを入れることでサギングする、という説明もなされますが、スナイプの場合はもともとのフォアテンションが低くメインシートによって決まる部分が大きいので、ほぼメインと考えています)
サギングするから、アフターを当てとかないといけません(ゆーてニュートラルくらい、これは後の記事で詳述します)。
トラベラーの場合はアフターは基本的には解放です。
まあ、バングはメインを出してデパワーしますよって話だけ掴んでおいてくれたら大丈夫です。
んでサギングする。
ということです。
バングのチューニングは?
メインを出すと、サギングします。また、相対的にリーが強くなりますよね。
ということで、フォアテンションをある程度保ちたいし、ウェザーがちょっとほしいわけです。なぜならばメインが出てるから。
さらに、メインを出すので、しっかり風が逃げてほしい。つまり、ジブを通った風がちゃんときれいにメインを流れてほしいわけです。メインとジブのオーバーラップが大きいとなかなか風は逃げてくれません。
以上の理由から、バングではピンダウンをした方が良いことが多いです。
ピンを下げてある程度テンションを引けば、フォアテンションが上がります。なので、メインを出してもサギングせず、適切なジブの形を保てます。サイドテンションはアップしますが、トラベラーと違ってサイドリーンでデパワーするわけではないので、関係ありません。
また、ローレーキになりますが、そもそもメインはセンタリングできていないので、ウェザーが強くなりすぎるということにはなりません。上でも言いましたが、ジブとメインをしっかり引いたときにちょうど良いヘルムになるのが、6550とかそこらへんなわけです。
つまり、メインをたくさん出して走ってたら、もっとレーキが低い方がいいわけですね(レーキが小さいほどウェザーは強く、メインだしてる方がウェザー弱いので、つり合いとれます)。
さらに、マストが後傾することで、ジブとメインのラップが減って、メインを出したときにしっかりと風が逃げてくれます。
これによってメインを出せばちゃんと加速する、というチューニングになるわけです。
要は、ピンダウンしたら簡単に走れますよねということです(笑)
まとめ
ということで、トラベラーはピンアップしてテンション緩め、バングはピンダウンしてふつうにテンション入れて走りましょうということでした。
ではいったいどんくらいの値にしたらいいのか??
レングスはどうしたらいいのか??
ディフレクションはどうしたらいいのか?
体重によってどう変えたらいいのか?
トラベラーについては、ノースのガイドに従えば問題ないでしょう!
バングについては、次回以降の記事で詳しく見ていきたいと思います。
San DiegoスタイルとBrazilianスタイルをお楽しみに!(笑)

ジブについての考察②
ジブについての続きです。
この記事では、ちょっとマイナーなとこも含めて考えていきましょう。
フォアプラー
フォアプラーはよく使うと思います。引くとマストの下の方が押されて曲がります。
そうするとベンドが増えたのと同じような感じになるので、メインが開きやすくなります。なので、微風でフォアを引くことが多いですね。
ジブはどう変化するかというと、マストが曲がった影響で、フォアテンションが落ちるのでサギングするようになります(サイドテンションも同時に落ちます)。なので、ジブのラフが深くなります。
あまりにも引きすぎると、サギングがひどくなりますが(デフォルトのフォアテンションとか船によってけっこう違う)、微風なら基本的には引いた方が良いでしょう。風が弱いときは、風の入り口=ジブのラフを広くしてたくさん風を入れた方が走りやすくなります。
アフタープラー
アフターは逆にマストを引っ張ってベンドを減らします。フォアの逆なので、フォアテンションもサイドテンションも上がります。結果、ジブのサギングは減ります。メインは下から真ん中にかけて閉じるようになってパワフルになります。
バングシーティングでバングを強く入れると、マストの下が前に押されてサギングするので、それを抑えるのに使います。それ以外は、スナイプではあまり出番がないですね。トラベラーシーティングでは、ほとんど使いません。そもそもメインシートでメインセールのリーチをコントロールするので、サギングしないからです。よほど波が気になってパワーが欲しいとかなら使うこともあるでしょう。
個人的には、フルパワーくらいでパワーが欲しいときに少し(数ミリ)入れるくらいで使っています。バングの時もがっつり入れるというより、ニュートラルの位置から前に曲がるのを防ぐくらいの意識ですね。
調子にのってアフターを入れすぎると、ラフテンションが必要以上に高くなって浅くなって、テルテルの流れ方も悪くなり、結果的に失速しやすくなります。試してみて、ちょうどいい引き具合を探してみましょう。
メインシート
メインでジブの形変わるん?って感じの人も多いかもしれません。
これは上で少し言いましたが、トラベラーシーディングの時にわかりやすいかもしれないです。トラベラーの場合、メインのリーチテンションは、バングではなくてメインシートで作ります。なので、センタリングからさらにブームを下に下げるくらい強い力でメインシートを引きますよね。そうすると、リーチにかかったテンションがフォアに伝わって、サギングが減ります。ぽよぽよだったフォアがバキっと立つ感じですね。これがないと、下にたるんだジブになる気がします。
軽風以下だと実感しませんが、オンデッキとかある程度吹いてたら、メインの入れ具合でフォアの硬さが全然変わるのがわかると思います。試しにパツパツになるまでメインを引いてみると良いでしょう。
結局何がいいたいねんってことなんですけど、メインをしっかり引けてないとジブのシェイプも出ませんよってこと。これが一つ目。
もう一つは、’メインがしっかり引き込める’チューニングじゃないと、ジブのシェイプが出ませんよってことですね。
てことで、マストを介して、ジブもメインもつながってますよ、という当たり前の話でした。
テンション
テンションを入れると、ジブのリーチは閉じます。緩めれば開きます。またフォアテンションが上下しますね。それと、ジブを入れるとジブが立つので、フットの位置が高くなります。ピークロープの高さを攻めてると、高くなりすぎみたいなこともたまーーにあります。
結構多いのが、テンション入れてないと上れないんじゃないかっていう勘違いですかね。
そんでテンション入れすぎて、フォアテンションは高くて失速しやすいし、リーチが詰まりやすくなって余計に失速しやすいというパターン。
結果として、上は向いてるけどスピードはそんなになくて、VMGは悪いってことになります。
テンションいじるだけでこんなに変わるんかってくらいスピードが出るようになることもあります。というか、引きすぎてる場合ってだいたいサイド22とかチューニングテーブルの限界とか超えてるパターンがほとんどです。
遅いなって思ったら、特にスピード出にくい場合は、テンションいじるってのをオプションとして持っとくと良いと思います。
バング
バングもメインをコントロールするシステムです。
上にも書いたんですけど、バングを引くことでマストの下が押されて曲がって、サギングします。そうするとジブのラフが深くなって、メインは浅くて閉じたのに、ジブはパワフルになってしまうっていうことになります。もともこもない。そんで、全然上れなくなってしまいますし、全然うまいことデパワーできないです。
ジブ的に言うとサギングしてるジブを後ろから見ると深くて、下(しも)にモワっと広がっているように見える思います(今度写真があれば載せます、もしくは動画送ってくれれば見ます)。
ということで、アフターを入れると良いでしょう。
繰り返しになりますが、トラベラ―の場合は気にしなくて大丈夫です。
レーキ
レーキが変わるとジブって変わるんですかね。
レーキというよりピンの話かな。例えばピンダウンするとマストが後傾するので、ジブは開きやすくなる?気がします。浅くなってフォアテンションが上がるイメージ。
逆にピンアップすると、テンションの入れ具合にもよりますが、ジブが立って(この表現わからん)、リーチがきれいに閉じるイメージです。テンションを抜けば開くので、トラベラーの場合、ピンアップしてテンションをニュートラルより抜くときれいなジブになるのでしょう(バングとトラベラーの考察については、また詳しく記事にします)。
ということでレーキについてはあんまりまだわかってないです。知ってる人教えてください。
それと、マストステップによってもジブの形って変わりますよね。一番下が変わってるのに、レーキ一緒とかやったら、その途中にあるジブが生えてること(名前忘れた)の位置だって当たり前に変わるはずなんで。そこらへんもおいおい、考えてみてみます。
まとめ
ということで、ひたすら要素を羅列しただけのシリーズでした。
まあゆーて、ここらへんの知識を使って速い形ってやつを模索していきましょうということです。
一つ言えるとすれば、速かったときの形を覚えることが一番大事ということ。
ぜんぜん一つじゃなかったけど、もう一つは、いろいろ試してみること。この記事に書いてることのように、何をいじったら何がどう変わるのかを理解していじってみる。それが実際速かったのか遅かったのか。そんでそん時の見た目はどうだったのか(ここもマーキングで再現できるとよい)。
そのサイクルに上手くはまればめちゃくちゃ速くなると思います。
意外とジブの形って要素が多くて複雑です。
とにかく最初はチューニングガイドの通りにやって、そこから船に合った、ペアに合った、風に合ったセッティングを作っていったら良いと思います。
ジブについての考察①
クローズを走らせるうえで、ジブは非常に重要な役割を持っています。メインに入る前にそもそもジブに風が流れますし、正しい形を作れないと上り角度も全然違ってきます。
ただ、正しいジブの形=シェイプについて、ズバっと答えを言い切れる人はそこまで多くないのではないか、と最近思っています。僕自身も、何となくこんな感じ~という程度でやってきました。
この記事では、ジブの形を構成する要素についてひたすら挙げていきます。結論めいたことがいえるかはわかりませんが、事実としては、ここを動かしたらジブはこうなるよねっていうのを考えてみます。
ジブの高さ
これめちゃくちゃ重要です。にもかかわらず、学生だとここを厳密にしてない人が非常に多いと感じます(強豪校は当たり前にできていますが)。特に乗りたての新入生とか。別に新入生だからええやっていうもんでもなくて、正しい高さで乗らないと、テルテルがそもそもうまいこと反応しないなんてことにもなります。それは他の要素についても一緒ですが。
んで高さを変えるとどうなるか。確認していきましょう。
リーチ
まずリーチについてです。ジブが適正(何が適切な高さなのかは後で説明します)よりも高い=ピークロープが短すぎると、リーチは閉じます。リーチが適切になるようにジブシートを引き込むと、引き込む余地があまりないので、結果としてジブが深くなってしまいます。リーダーを下げて開かせようとしてもいびつな形になってしまいがちです。
逆に高さが低すぎると、リーチは開きます。するとリーチを閉じさせるためにどんどんジブシートを引かないといけなくなって、結果ジブが浅くなります。下級生の練習でジブのフットが一直線みたいになってる光景がよく見られますが、あれはピークロープが長すぎるということも原因として考えられます。これもリーダーを前にすればマシにはなると思いますが、根本的には悪いシェイプのままです。
正しい高さ
正しい高さは、クローズまでジブを引いたときに、デッキとジブのフットが触れるぎりぎりの高さです。もしくは5㎜くらい折れる程度と言われています(と僕は思ってます)。これをするだけで、極端にいびつな形は避けれると思っています。
高さが低すぎると、ジブのフットが折れます。そうすると当たり前に、セールの有効面積が減るので、小さなジブで走っているのと同じになります。遅そうですね。
高さが高いと、今度は、デッキとセールの間に隙間ができます。そうするとここに乱気流?というか、風の乱れが生じるようです。それがメインに悪影響を与えてスピードが出にくくなるらしいです(体感したことはないですが)。
ということで、高さを調節しないと、そもそもまともなシェイプが出ないということが言えます、当たり前です。風が変わればジブシートを引き込む量も増えるので、高さを上げないといけないです。スタート前に、風にあった高さにすることがとっても大事です。
いちいち結び目を作っていると時間がかかるので、ソフトシャックル的な感じでピークロープを作るのがおすすめです。風に応じていくつか作っておけば、柔軟に素早く対応できます。

この写真は、玉が一つですが、おなじピークロープに玉を複数作っといて、風に応じて使う玉を変えるのも良いです。
ジブシート
これは簡単に。ジブシートを引けば、ジブは閉じて浅くなります。一方ジブシートが緩いと、ジブは開いて深くなります。
よく、ジブの形が変だからリーダーを変えたいんですけどどうでしょう?と聞いてくる人がいますが、そもそもジブシートを引けてないことも多いので、まずはしっかり引き込みましょう。
リーチについてるリーチリボンがぎりぎり流れるか流れないかぐらいのとこまで引いといたら大丈夫やと思います。極論すれば、速ければ引いてきて、遅くなる前にちょっと出すて感じでトリムすればいいと思います。ブラジル人はカムをつけずにトリムし続けてるらしいですしね。
ジブリーダー
リーダーは前にしたら、深くて閉じて、後ろにしたら浅くて開きます。
でどこが一番いいのか?
ノースのチューニングガイドによれば、
”ジブリーダーを任意の位置にしてクローズを走りゆっくりラフィングして行きます。その時に上下のテルテールが同時かやや上が早くストールする位置があります。ここが基本位置です。上のテルテールが早い場合は前へ、また、下が早い場合は後へ動かしてください”
とのことです。リーダーが後ろ過ぎると、開いてしまってとくに上方のリーチが閉じにくくなって上の方のテルテルが先にストールしてしまいます。なので前にする。逆も同様です。
強風になれば後ろへ動かして、ジブを浅くしていきます。
軽風でも、波のあるコンディションなど、ジブにパワーを持たせたい場合は、前にして深くセットします。
上述の基本ポジションをベースにして、走りながらいじりながら、感触を確かめると良いでしょう。
僕が敬愛する大学からヨットを始めた選手がいるんですが、その子は3回生の時点で、レース中に走りながらリーダーもトリムしていると言っていました。僕はあんまり違いを実感したことはないんですが、やっぱり全然違うみたいですね。いじった時の走りの違いを感じれるようになるまで練習できると良いですね。
ジブタック
ジブタックを引くとジブのラフが浅くなります。ジブ版のカニンガムみたいなもんです。
みんな結構引きがちなんですが、意外と引かないもんです(何が意外か知らんけど)。僕は、ノースのチューニングガイドに従っていましたふつうに。それでおかしいなと思ったことはないです。ちなみにノースは何と言ってるかと言えば、(1ノット=1m/sにしてます)
・3mまではラフに深いシワ
・3-4.5mではラフに横シワ
・5-6mではラフに微かな横シワ
・6.5-7.5mでスムース
・それ以上、どんどんタイト
という感じです。
デッキポジションで考えたら、二人ともフルハイクするくらいでやっとシワがなくなる=スムースになるかどうかくらいですね。
こいつを引きすぎると、浅くなりすぎてうまいこと風が流れず失速しやすいんで、注意が必要です。というかそんなに超頻繁にいじるもんではないので、しっかり正しい引き具合を確認しときましょう!
まとめ
特にまとめることもありませんね。
次回は残りの要素、たとえばプラーとかそういうのを見ていきます。
この記事で考えたとこでいうと、ジブシート、ジブリーダー、ジブタックは走りながら変えれるのに対して、ピークだけは変えれない。しかも、根本的にシェイプが変わってしまいます。変えるのもちょっと手間です。
ということで、高さがおかしいと、それ以外のとこをいじっても良いシェイプにたどり着けないので、そこはしっかり注意しとくと良いかなっと思ってます。
なにか思い出したら追記します。
感覚とは何か?:生態心理学が教えてくれること
ヨットの技術において、感覚は非常に大事な要素の一つです。
スピード感覚がないのに、自分にあったセッティングなんてわかりっこありません。
そんなことはわかり切っています。
しかし、その感覚というものを鍛えるとなると、どうやったらいいのか途端に難しく感じる人も多いのではないでしょうか。
この記事のシリーズでは感覚と知識について書きました。
そして、感覚と知識をつなぐものとしての、ことばの重要性についても書きました。
このシリーズは、どちらかというと頭でっかち(言い方悪いですね、)というか、理論派のセーラーに向けて書いたものです。僕自身がくっそ頭でっかちなので仕方ないですね。今回はもうちょっと直観的に感覚を考えます。
感覚を鍛える方法論については③で触れました。今回の記事では、そもそもその感覚ってなんやねんって話をしたいと思います。漠然として鍛えようのなさそうな感覚を、違う視点から見ることで、今までと違う違う上達方法・練習中の意識をゲットできるかもしれませんよ。
この記事では、タイトルからもわかる通り、生態心理学という分野の考えをもとに考えていきます。内容はとてもシンプルなので、漢字に惑わされずに最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
結論としては、感覚を、「環境中の意味を探して発見すること」として考えてみようぜって話です。
そもそもヨット中の感覚って何があったっけ?
ヨットで感覚が大事とは言うものの、そもそもヨット競技に必要な感覚ってどんなものがあるでしょうか。
スピード感覚や、スタートラインまでの距離を感じる能力、船のパワー感などいろんな感覚があります。ブローが見える人もいれば見えない人もいますし、同じ波でも乗れる人と乗れない人がいます。こういった力も感覚といっていいでしょう。
こうした感覚をいかに養っていくか?というのは、上達を願うすべての選手にとって大きな課題でありつつも、とても難しい問題です。
この記事では、その方法について少し触れましたが、ことばに頼るだけが感覚を養う方法ではありません。
ここで前提としている感覚というものをちょっと違ったものとして考えて、違った道を開いて見ましょう。
アフォーダンス
今回お世話になる考え方は、生態心理学という分野のものになります。中でも1970年代に、認知心理学者のジェームズ・ギブソンによって提唱されたアフォーダンスという概念に沿って見ていきます。
通常、僕らが何かを感じた!と思ったとき、何か外からの刺激があって、頭がそれを感じるというものではないでしょうか。例えば、ヒールという傾きを身体が感じ、頭(脳)でそれを「ヒール」として処理して、傾いたことを感じているというようなものです。
この通念に対して違ったアプローチをしたのがギブソンです。その考えの中心的な概念がアフォーダンスです。
アフォーダンスとは、簡単にいってしまえば、環境が動物に提示する情報(意味)です。
何言ってんだお前って感じですね笑
ランニングの波乗りについて考えてみましょう。
上に挙げた通念で考えれば、波に乗るためには、
船のスピードとパワーや、船と波の形やその位置関係を身体を通じて(んで頭で処理して)感じる
ことが必要です。
これをギブソン流にいうなら、
「波乗り」という意味を備えた波を見つけられる
ということになります。
つまり、波乗りに必要な要素を感じられるか感じられないかということはどうでもよくて、そもそも波は、「波乗りできる」という意味(アフォーダンス)を持っていて、それを見つけられるかどうか、それがいわゆる感じるということなのです。
ややこしいですね。
要は、波はいつでも波乗りできるという意味を持っていて、選手にその意味を発見されるのを待っているということです。
あやしい笑
大事なのは、その意味はすべての選手に開かれているということです。だれでもそれを探して見つけることができる。そういった公共的な性質をアフォーダンスは備えています。
繰り返して言います。
この考えにおいて、感じられるかどうかはどうでもいいです。みんなに平等に開かれた意味を探し、発見できるかどうか?それが大事なのです。
感覚をこんなふうに考えると、上達するということが、違って見えてくるのではないでしょうか。
上達すること
漠然と感覚が鋭いとか、センスがいいとか言います。ただ、こうなんかボヤっとしていて、上手い人とそうでない人は何が違うのかということになると、あんまりわかりませんね。
そこで、上で見たアフォーダンスで上達ってものを考えてみます。
波乗りするための感覚があるかないかという表現をすると、センスがない人はいつまでたっても波乗りできないままというニュアンスが強い。
ただ、波乗りできる波というのは、常に波乗りという意味を持っていて、全ての選手がそれを発見する可能性を持っていると言い換えてみる。
そうすると、波乗りというものは、上手い人やセンスのある人に特別なものでは決してなくて、万人に等しく与えられた可能性であることがわかります。
別に言い方変えただけなんですけどね笑
波乗りに限らず、起こしたら速いヒールを「見つけ」たりすることも一緒です。
ということで上達するとは、より多くの環境中の意味(アフォーダンス)を見出すということに他なりません。風や波やヨットはアフォーダンスで溢れかえっています。その中からどれだけのものを探して発見できるか?それが上達するかどうかということです。
一番ヨットが速いひと
上のように上達を考えると、ヨットが速い人というのは、より多くのアフォーダンスを見つけてそれに応じてハンドリングしている人になります。
別にハンドリングに限らず、ストラテジーやタクティクスに関してもそうです。
バウが落ちてきた他艇が提示してくるアフォーダンスを見つけられるか、自分が前に出るというアフォーダンスを持ったブローを見つけられるかどうか。

レース中に探すべきアフォーダンスは無限に溢れています。
特にヨット競技という、自然と対峙しつつも他の選手と競うスポーツにおいては、前を走るための要素がたくさんあります。
たくさん気づく人はうまくなるとか言われたりもしますが、要は、どんだけアフォーダンスを見つけられるかってことです。
世界で一番速い人がいるとすれば、その人はきっと誰よりも多く、船や風波空が提示してくる意味を見つけているのでしょう。
まとめ
結局少し小難しい話になってしまいました。
要は、感覚が鋭いって、周りにあふれかえった意味をどんだけ見つけられますか?ってことです。
それをギブソンの提唱したアフォーダンス理論から考えてみました。
そう考えてみると、上達するということが違って見えるということについても見ました。万人に開かれた(※)アフォーダンスを、見つける旅に出てみませんか、、?
アフォーダンスについて興味も持ってくれた人は、コロナで海に出れない間にでも入門書を読むのも面白いかもしれません。
※
もちろん、意味を見つけられるかどうかは、それを行う行為者の能力(ability)に依存する(Greeno 1994)。大人と子供が同じアフォーダンスを見つけられるかどうかはまた別の話である。
参考文献
Gibson, J. 2011. 生態学的知覚システム: 感性をとらえなおす. 佐々木正人・古山宣洋・三嶋博之, 訳). 東京大学出版会.
Gibson, J. J. 1985. 生態学的視覚論. 人の視覚世界を探る.
Greeno, J. G. 1994. Gibson's affordances.
東工大インタビュー②~33年ぶりの全日本出場&創部至上初のクラス入賞~
歴史的快挙を成し遂げた東工大ヨット部の記事の続きです!

前回の記事から少し時間が空いてしまいました、、。ごめんなさい。
簡単にここまでの話をおさらいしておくと、
・近年、右肩上がりで成長してきた
・練習時間に徹底的にこだわった
という点です。
今回の記事では、近年の東工大の躍進に違う角度から迫ってみたいと思います。そして、そこから何を学ぶことができるのか?僕なりにかみ砕いていきます。
当たり前を疑い、しかし、当たり前のことを徹底するのが大事なのでは?という当たり前の結論までお付き合いいください。笑
ミーティングは?
「ヨット部」の活動において、ミーティングは練習・レースに続いて重要な要素でしょう。コロナ禍以降、zoomなどのオンライン会議システムを使ったミーティングも増えていることと思います。
ミーティングの質が、チームの実力向上に大きな影響を与えているのは間違いがありません。クルーとスキッパーで分けてミーティングしたり、下級生と上級生でやってみたり、ペアでやってみたり、動画をみんなでみてみたり、、いろんな方法があると思います。では、コロナ禍というイレギュラーな状況下で東工大はどんなミーティングをしていたのでしょうか?
海上ミーティング
前回の記事では、東工大が練習時間に徹底的にこだわり抜いたという話をしました。練習時間を確保するための取り組みを紹介しましたが、その中に「ミーティングを海上でする」という話がちょろっとでてきました。海上でミーティングをするとは、技術的なミーティングを海上で終わらせるということです。
では、陸では何も話し合わなかったのかといういうとそんなこともないんですが、、、陸では、技術的な話ではなく、事務的な事柄を共有するだけで終わっていたようです。例年は、陸でクルースキッパーの技術的なミーティングをしていたようです。
では、なぜ従来の形を変更して、このようなミーティング形式をとったのでしょうか?
要因①練習時間の確保
前回の記事と同じことですが、大事なのでもう一度書きます。練習時間を確保するためです。コロナの影響によって、合宿が禁止され通いでの練習を余儀なくされた状況下で、いかに練習時間を確保するか?そして、その練習時間をいかに質の高いものにするか?どうやったら、次の日また練習に行こうと思えるか?
それを可能にする一つの答えが、ミーティングを沖で済ますということだったのでしょう。
ヨット競技においてミーティングは大事であるという前提(僕だけですかね笑)に囚われずに、自分たちが最も大切にする価値観(練習時間)を貫いたということ。これは、一見あたりまえかもしれないけど、並み大抵のことではないと思います。
海外に出かけると、普段自分たちが当たり前と思っている前提に気づくことはたくさんあります。でも、自分たちが無意識のうちにやっていることに、その世界の外へでることなしに気づくこと。そしてそれに変更を加えること。これは意外と難しいのではないでしょうか。
要因②自チームの特徴
練習時間を確保するためにーティング形式を変えたということの裏には、もう一つ特筆すべき点があります。それは、彼らが、自分たちのことつまり自チームの特徴(カラーといってもいいかもしれません)をしっかりと把握していた、ということです。
ミーティングをみんなでやることには、もちろんたくさんメリットがあります。自分より実力のある人に質問することもできますし、対話の中から思いがけない発見をするかもしれませんし、後輩を教えることもできます。
ただ、もしも、後輩の人数が少なく、ある程度レースメンバーが固まっていて、かつそれぞれが確固たる自我をもっていた場合はどうでしょうか?各々が、それぞれに技術を上げていくということに重きを置いていたらどうでしょうか?先に挙げた「全員で」するミーティングの意義は多少薄れてしまうかもしれませんね。
また、夜帰ってからそれぞれの家からzoomでミーティングをしたり、遅い時間までハーバーに残ってミーティングすることは、練習時間を大切にするチームにとっては、マイナスです。次の日の練習時間の確保が難しくなるだけでなく、疲労もたまり、その質にも影響を与えます。小松さんの言うように、練習量が質と量で決まるのなら、量を確保して質が落ちてしまったら意味がありません。
この状況を的確に把握して、従来のスタイルに変更を加えたこと。これは僕がいうのもあれですが、すばらしいことだと思います。
もちろん、技術的な課題は、ミーティングの「外」で個人的に解決したりもしていたようです(これも、今年度の東工大の特徴をよく把握していたからこそ可能になったことのように見えます)。
コーチングは?
東工大は、コーチングを受けていたのか?これは誰もが気になるところです。
結論から言えば、イエスです。
回数は年に10回あるかないか程度。春インの前と、秋インの前にそれぞれ5回程度、外部コーチの方に来てもらってコーチングを受けていたようです(名前は伏せさせていただきますが、日本でも有数のトップセーラーの方のようです)。
コーチングの内容について詳しく書くことはできませんが、理論的なことと、感覚的なことをうまくつなげるようなコーチングもされていたようで、とても学ぶことが多く、質の高いコーチングを受けていたように感じます。
ただ、それでも年に10回程度。常駐しているわけではありません。
今回のインタビューだけで判断するのは早計ですが、現役選手の努力も相当なものだったのでしょう。
取り組みに共通するものとは何か?
ここまで、大きく三点についてみてきました。
それでは、これらに共通することはあるのか?
僕なりにその共通点をまとめると、
・当たり前のことを疑うこと
・当たり前のことを徹底すること
・自分たちのことを分析できていること
です。
当たり前を疑うこと
まず初めに当たり前を疑うこと。
そもそも今の練習時間のままでいいのか?もっと伸ばせるところはないのか?今のミーティングの仕組みは最適なものなのか?
かれらがこのようなプロセスを踏んだかどうかはわかりませんが、結果として、いわゆる前提のようなものが変更されていることがわかります。上でも書きましたが、これは非常に難しい。それを形あるものとして行動に移したということから学ぶことは多いです。
当たり前を徹底すること
二つ目に当たり前を徹底すること。
練習時間を確保するとか練習量が大事とかってすごく当たり前です。ただ、じゃあたとえば、KAZIの小松さんの記事を読んで、練習時間を増やそう!!!と思ってそれを実行に移し結果としてちゃんと練習量を増やしたというチームがどれくらいいたのでしょうか?
思うに、ヨット(それ以外も)においては、当たり前のことがとても大事です。にも拘わらず、練習時間以外でも、「フラットで走る」とかみんなが知っている当たり前のことをできている人・チームはとても少ないのではないのでしょうか。
今回は練習時間を確保するということでしたが、それをちゃんと行動に移したこと、システムにまで昇華したこと、そしてそれを世代を超えて徹底したということは、一見すると簡単なようで、実行するのはむずかしいことなのです。
自分たちのことを分析できているということ
そして三つ目。
上の二つを可能にしたものとして、自分たちのことをよく知っていたということが挙げられると思います。
そもそもどんなミーティング手法や練習方法についても、それを実行する人たちの特徴ぬきに、良い悪いの判断を下すことはできません。初心者がやる練習とジュニアからやっている選手がやる練習は違ってしかるべきですし、フォーカスする点は異なるでしょう。それは、人数やメンバーの性格によっても違って当然だと思います。
みなさんは自分たちのことをどれくらい知っていますか?そして、今やっている取り組みは、どれくらい自分たちのチームにマッチしていますか?
まとめ
一世を風靡した東工大へのインタビューということで、その要因についてみてきました。
自分たちが自明としている前提を疑うこと。
当たり前のことを徹底できているかを疑うこと。
自分たちのことを知ること。
そして、それに合わせて、最適な方法を模索していくこと。
そんなことを考えさせられました。前々から言っていますが、10のチームがあれば、10のチームスタイルがあります。あるチームでうまくいったことが別のチームでうまくいくとは限りません。大事なのは、多くの情報の中から、自分たちにあったものを取捨選択し、自分たちなりの形で吸収することです。
そしてそれを可能にするヒントは、彼らの活動の中に見出せます。二度目の緊急事態宣言が発令され、イレギュラーな状況が続く中、チームをどう舵取りをしていったらいいのか。従来の考えに囚われないことが、今まで以上に求められているのではないでしょうか。

最後にお世話になった人への謝辞を記します。
まずは、インタビューを快く引き受けてくださった東工大の前主将とスナイプリーダーありがとうございました!!!
そして、インタビューをセッティングしてくれましたお二方も感謝いたします。本当にありがとうございました!
そしてそして、東工大とzoomで話すという僕のツイートを見て飛び入り参加してくれた中部スナイパー(大学名伏せます)もありがとうございました。いろいろな質問をしてくれて、座談会が大いに盛り上がりました。
東工大インタビュー①~33年ぶりの全日本出場&創部至上初のクラス入賞~
和歌山インカレが終わって早くも2か月が経ってしまいました。
前回の記事で、東工大の記事を書きます!と言ってから、ずいぶんとだらだらとしてしまって、、、
ご存じの通り、東工大スナイプチームは今年度のインカレで、
33年ぶりの出場と創部以来初の入賞
という快挙を成し遂げ、全国にその名を轟かせました。

今回は、そんな東工大の主将とスナイプリーダーに話を聞く機会をいただいたので、そのお話をまとめたいと思います。
(あいだを取り持ってくれたお二方ありがとうございました!)
いつも通り、僕の独断と偏見だらけなのはご容赦ください。
結論を先取りすると、
・練習時間への圧倒的なこだわり
・自己(自チーム)の現状把握とそれに見合った取り組み
この二つがずば抜けてたのかなと思います。
では、さっそくインタビューの内容に入っていきます。
東工大の近年の成績
まずは、ここ最近の東工大スナイプの成績を振り返ってみましょう。
主に、関東の春インと秋インの結果を見ていきます。
2017年度
春イン予選:14/15位
秋イン予選:9/15位(敗退)
この代は、秋インの予選で惜しくも敗退。
※関東では、他水域と違って全日本インカレに出るための予選が、「予選」と「決勝」に分かれています。予選を突破した7校が決勝に進み、シード校を交え、勝ち抜いた8校が全日本インカレへの出場権を獲得します。
2018年度
春イン予選:5/15位(突破)
春イン決勝:15/15位
秋イン予選:8/15位(敗退)
この代では、春インで決勝に進んだものの、秋インで惜しくも敗退。
この惜しい経験が東工大の雰囲気を変える(後述)。
秋イン決勝進出を目標に。
2019年度
春イン予選:3/15位(突破)
春イン決勝:13/15位
秋イン予選:2/15位(突破)
秋イン決勝:11/15位
この代でついに、念願の秋イン決勝進出。
全員が一番艇の成績なら全日本出場もできていたという事実から、チーム全体が全日本をより近くに意識するように。
「全日本出場」を目標といえるくらいに自信がつく。
2020年度
春インはコロナ禍でキャンセル。
秋イン予選:4/15位(突破)
秋イン決勝:8/15位(33年ぶりの突破)
秋インの決勝を突破し、33年ぶりに全日本インカレへの切符を手にする。
(このレガッタは強風ということもあり実力差が如実に出たとかなんとか)
そして、33年ぶりの全日本インカレで4位入賞。
こうして時系列でみてみると、まさに右肩上がりで成長してきたのがわかります。
春も秋も予選敗退の2017年度
↓
春イン決勝進出の2018年度
↓
秋イン決勝進出の2019年度
↓
全日本インカレ出場&入賞の2020年度
2017~2019年まで着実に一歩ずつステージが上がっているのがわかると思います。
2020年度に関しては、上り幅がすごすぎますが、、、、。笑
では、この躍進を支えたのはなんだったのでしょうか。
ここから、インタビューしたお話をもとに、まとめてみたいと思います。
練習時間は?
まずは練習時間。
インタビューの中で最も言及されていたのが、この練習時間です。
練習時間にとにかく、もうマジで真剣に本気で向き合ってきたのが、zoom越しに伝わってきました。
では、何がきっかけでこだわるようになったのか?
そして、具体的にどういったことに取り組んだのか?
見ていきましょう。
きっかけ①
上で近年の成績を見ましたが、注目してほしいのは、2018年度の秋イン予選です。
7位までが決勝進出のところ、惜しくも8位。この悔しい経験が東工大の意識に大きな変化をもたらしたようです。
そして、この意識改革に一役買ったのが、その年のインカレ直後のKAZI12月号。早稲田の小松コーチのコーチングメソッドが特集されているものです。
ここでは具体的な練習方法も書かれていますが、東工大に刺さったのは、何よりも練習時間の大事さ。
練習量は、量と質の二つで決まる。日本一になるには、日本一の練習量が必要。
当時の東工大の主将そしてクラスリーダーは、シンプルなこの真理を愚直に実行に移したようです。
きっかけ②
今度は、2019年度の成績を見てみましょう。
ここでは、悲願の秋イン決勝進出を決めています。2018年度から始まった練習量へのこだわりが早くも結果として現れています(もちろん時間だけではありませんが)。
これが、練習時間への徹底的なこだわりへとつながっていきます。
やはり、結果が「見える」というのは、継続にも、モチベーションにもとても重要な要素になりますね。
取り組み①
では具体的に何を取り組んだのか?
基本的に、ハーバーが定める出艇可能時間は常に海上にいる。
というシンプルな原則を徹底したようです。それまでは、昼休みにも着艇していたようですが、それも失くして文字通りずっと海の上。これによって圧倒的な練習時間を確保しました。
今年に関して言えば、四年生が多かったこともあり、インカレの前には平日もかなり練習していたようです。ここには書けないようなことも、?
取り組み②
①は、直接的に量を増やす方法ですが、ここでは、それを可能にした取り組みに触れてみます。
特に今年に関しては、コロナ禍で合宿禁止となると、通いでの練習になります。そんな中、どうすればそんな練習時間を確保できるのでしょうか。従来通りのことをしていたら、帰るのが遅くなって次の日の練習に支障をきたします。
そこで、今までは陸上でしていたミーティングを海上でするようにしました。これによって、陸での時間を削り、解散時間が早まった。そして、練習量を削ることなく、通い続けることができた。
「練習量」という確かな指針があり、それに応じて従来のスタイルを変化させることが、アブノーマルな状況下でも練習時間を確保することに繋がっています。
取り組み③
さらに、練習時間が長くても練習に来たくなるような細かな取り組みを他にもたくさんしていました。東工大のカラーとして、部活より学業を優先する風潮があるようです(当たり前か)。その風潮の中で、私大並みもしくはそれ以上の練習時間を確保するのは並大抵のことではなかったと思います。
特にモチベーションの下がりやすい下級生をケアして、出艇数を増やし下級生の乗艇時間を増やすのは、当たり前かもしれないけれど、徹底するのは難しいです。
さらに、部に来たくなるような和気あいあいとした雰囲気作りを心がけ、練習内容決めに多数決を取り入れたりもしたようです。
ここには、書ききることができませんが、そういった、「練習量」という指針と、それを可能にする細かな取り組み、という両輪をうまく回せたことが、結果につながったのではないでしょうか。
おわりに
一世を風靡した東工大へのインタビュー記事①ということで、近年の成績と練習時間への徹底的なこだわりについてみてきました。
次回の記事では、他の要素にも焦点を当て、東工大の強さの秘密にさらに迫ってみたいと思います。
コーチングの難しさ
和歌山でのインカレを終え、この大会を通して、また、学生コーチとして京大ヨット部の現役と関わって感じたことを書きたいと思います。
教える立場にいるすべての人に読んで欲しい。。
この記事から何かを学んでもらえれば幸いです。
そしてそれ以上に、僕に対して何か助言をしていただけると嬉しいです。
和歌山インカレ
引退してからちょうど一年。
昨年クラス優勝した京大としては、初めての守る立場。
チャレンジャーだった今までとは、違う戦い方が求められていたと、今になって思います。
違うと言ってしまうと、大げさかもしれません。
だけど、少なくとも、前年と全く同じで良いわけがない。それは現役もわかっていたし、僕もわかっているつもりでした。
京大はクラス13位という結果に終わりました。
何がダメだったのか、正直僕自身あんまりわかってないです。
全ては結果論でしかなく、今になって、ここをこうしたら良かったんじゃないかとか、思うことはたくさんあります。
コーチとして、長い時間を現役と過ごしたけれども、決定的な敗因みたいなものがわからないというのが今の正直なところです。
めちゃくちゃ悔しい。
この大会から、コーチとして学んだことを、今後の糧にするという意味でも、書き記しておきます。
暗い内容になってしまうかもしれないですが、興味がある人はお付き合いください。

内側から見るチームと、外側から見るチーム
まず一つ目の僕の反省です。
チームの内側(=現役)にいるときに見える景色と、外側から見える景色が全然違うという事実になかなか気づけなかった。
というよりも、気づきつつもそこから目を背けてしまっていた、、、のかな。
四年間をチームの中で過ごし、少なからず現役部員のことを知っている立場からだと、その目線は限りなく現役に拠ったものになります。
ほんとは、外にいるから、違く見えてるはずなのに、ついつい自分が現役の時に見ていた部員像、チーム像を貼り付けてしまったり、現役の活動を尊重するあまり、批判的な視座に立てなかったり。
本来、外にいるから見えるもの、違う角度からだからこそ見えるものが見えなくなってしまっていたのかなと思います。
感情が入ってしまって、ほんとに難しかった。
なまじみんなのことを知っていて、愛着のあるチームだからこそ、自分で自分の目を曇らせてしまっていたのかなと反省しています。
やはり、コーチという現役とは違う立場だからこそ、見えるもの、わかることがある。
そして、それを伝えられる力がコーチには必要なんだと。
それが僕に足りていなかったことであり、常勝校のコーチとの差なのかなと思います。
エゴとファクト
反省の二個目。
違う視点からなかなかチームを見れなかったといっても、これは違うんじゃないか?みたいなことがゼロなわけではありませんでした。
ただ、それをどう伝えるのか?、そもそも伝えるべきかどうか?、ということに無限に悩まされました。
自分ならこうするけどなっていうことと、客観的に見て改善する余地のある絶対的なマイナスポイント。
これの区別をつけることができなかった。
アドバイスはしたいけど、それは自分が作りたいチーム像を押し付けているだけなんじゃないかという迷いがすごかった。
さらに、そのアドバイスを現役が求めてなかったときの、意味のなさと老害感。
でも、その迷いの中にきっと客観的に見て、助言した方が良かったんやろなってことは、今となっては、ある。
自分の中でうまいこと境界線を引けなかった。
きっと、良いコーチってのは、そこの判断がうまいんだと思います。
選手を見守りつつ、ほんとに必要な時に手を差し伸べることができたり、道を外れそうな時にそれとなく軌道修正させれたり。
まだまだ未熟だなと痛感しました。
今後のコーチングに向けて
今回はなかなかに湿っぽい話になってしまいました笑
なにかアドバイスをしていただけると幸いです。
今回の大会を通して、コーチングの難しさを痛感しましたが、一つ言えるのは、コーチと選手との対話がとにかく大事ということです。
お互いが何を考え、何を感じ、何を求めあっているのか、少なくともそれくらいのことを十分に共有できていないと、何も始まらないということは言えそうです。
そこらへん、想像でしかありませんが、完全優勝した早稲田とかすごいのかなとか思ってます。バルクヘッドの記事中の、関口監督のコメントからも、そのレベルの高さがうかがえます。
毎年、未経験者の選手含めて高いレベルに仕上げている同志社の組織力にも脱帽です。
活動の主体のほとんどすべてを、選手自身がこなさないといけない大学が常勝チームになるには、今しばらく時間がかかりそうかな?と思います(単なる想像)。
次の記事では、教えることについて、思ってることを書いてみます。
そして来週には、今回のインカレで全国にその名を轟かせた東工大ヨット部の幹部とお話させてもらえることになりました!
それも、記事にできたらと思っています!!(許可がもらえれば)
<ヨットの基本>タックで意識すること(オーバー)
前回の記事では、ロールタックについて書いたので、今回はロールの必要ない風域でのタックについて書いてみます。(スナイプ)
スナイプだと飛びタックとかとも言われると思います。
- ラフでのティラーを切る速さは適切か?
- ラフでメインを引いたか?
- 逆ジブの長さは適切か?
- タック後オーバーヒールしてないか?
- タック後にフルハイクできてるか?
- 船を回しすぎてないか?回さなさすぎてないか?
ラフでのティラーを切る速さは適切か?
これは軽風の時と一緒です。
ただ、風が強い方が、風上に向いている時間に、風に押されて失速してしまうので、少し早めに船を回転させた方が良いかもしれません。
もちろん、その回転速度に体がついていける範囲内で、です。
ラフでメインを引いたか?
これも、ロールタックの時と一緒です。
トラベラーシーティングの場合は、メインシートを引く必要はないです。代わりにトラベラーシートを僕は引いてました(トラベラーは初心者なので、引かない方が良いとかだったら教えてください笑)
バングの場合は、メインが出てるので、ラフで引いてこないといけません。
ここでしっかりメインを引き込めないと、メインがシバーして(そりゃラフしてるから当然)、減速する原因になります。
船もしっかり回転してくれず、回さなすぎにもなりやすいです。
逆ジブの長さは適切か?
基本的には、逆ジブはたくさんいらないです。
風が強いほどなしでいいと思います。
長すぎれば、沈の原因になりますし、そもそもスピードがあるので、逆ジブをしなくても船は回転します。
タック後オーバーヒールしてないか?
タック後にオーバーヒールしないのはとても大事です。
タック後の走りだしのスピードがぜんぜん変わってきます。
クルースキッパーともにすぐにハイクアウトします。
この時飛ぶくらい早く移動できると良いでしょう。
スキッパーはまた、メインシートを出して、ヒールをコントロールします。
ここでメインを出すのが遅れたりすると、無駄にヒールして減速してしまいます。
ラフで引いた後に、今度はしっかり出すということをすると良いかなと思います(トラベラーは知りません笑)
タック後にフルハイクできてるか?
さっきのとことも被るかもしれませんが、
タック後にどれだけ船をフラットにできてるか=起こせてるかは、タック後の走りだしにとても重要です。
とにかくすぐハイクアウト。
本気でハイクアウト。
船を回しすぎてないか?回さなさすぎてないか?
ロールタックでもそうですが、船の回しすぎ回さなすぎに注意しましょう。
上で書いたように、メインを引いてこないと回さなすぎになりやすいので、ティラーの動き以外にも目を向けれると良いと思います。
<ヨットの基本>タックで意識すること(軽風)
この記事は、タックで意識すること、というか僕が意識していたことについて、書いていきます。
ヨットに乗りたての新入生や、動画を詳しく分析したいセーラーのお役に立てればと思います。
参考程度に、たたき台として、僕の動画を載せておきます。
これが、良い悪いとかではなくて、それぞれ気を付けるポイントがどうなってるか?とか考えたり、ここはこうした方がええんちゃう?とか、ミーティングの材料にしてくれたら嬉しいです。
- ティラーを切る(ラフ)速度は適切か?
- ラフでメインを引いてきたか?
- ラフのヒールは適切か?
- アンヒールを入れるタイミングは適切か?
- アンヒールの量は適切か?
- 逆ジブの量は適切か?
- メインを出したか?
- メインを出す量は適切か?
- メインを引くタイミングは適切か?
- ジブの張替えでシバーしてないか?
- 起こし方は適切か?
- 起こしすぎてないか?
- タック後のメインは適切か?
- ティラーを戻すタイミングは適切か?
- 起こすときのティラーは適切か?
- まとめ
ティラーを切る(ラフ)速度は適切か?
ラフするときのティラーを切る速度は大事です。
速すぎると、船の回転とティラーの動きがマッチせずに失速してしまいます。
ヘルムに合っていないと、ラダーが抵抗になってしまうんですね。
ウェザーヘルムに任せて、ティラーを押すというよりも、ティラーを離すというような意識でやると良いかなと思います。
ラフでメインを引いてきたか?
船が上れば、それに合わせてセールを引いてきた方が良いのは当然です。
ラフと同時にメインをしっかり引きましょう。
(この記事は、軽風でのロールタックについて書いていますが、オーバーでもメインを引いてくるってのは大事になってきます)
ラフのヒールは適切か?
ラフするときに、ティラーはヘルムに任せると言いましたが、そのためにはウェザーヘルムが必要です。
そのためには、ヒールをつける必要があります。
ただ、スナイプの場合、クローズ中も弱いウェザーを残して走っていることが多いので、そこまで大きなヒールを入れる必要はないでしょう。
アンヒールを入れるタイミングは適切か?
風が弱い場合、風上側にロールを入れて、船が回るのを助けてあげると、船の回転が速くなり、よりスピーディーに次のタック(例えば、ポートからスターボ)になることができます。
では、どのタイミングでアンヒールを入れて、ロールを作ったらいいのか?
詳しくは動画を見てほしんですが、
遅すぎると、もう船は回っていて、回転の助けになりませんし、タック後に風が入りオーバーヒールしてしまいます。
逆に早すぎると、ラフしているのにウェザーが消えてしまい失速してしまいます。
船の回転の助けになるような、適切なタイミングを見つけましょう。
アンヒールの量は適切か?
アンヒールの量と書きましたが、まあロールの量ですね。
これは、好みによっても違いますが、基本的には、最小限のロールでよいです。
最小限というのは、タック後にタック前のスピードに戻るために必要な最小限の、という意味です。
例えば、フラットな海面なら、ほんの少しのロールをつけて起こしてあげるだけで、スピードは回復します。
でも、波のある海面だと、あまりにロールが少なすぎると、波に叩かれて失速してしまうこともあるでしょう。
その場合は、少しロールの量を増やしてあげたら良いです。
じゃあ、何でもかんでもたくさんロールをつけたらいいかってことでもなくて、
必要以上にロールをつけると、その分、風に押されて下に流されてしまいます。
最小限のロールでタックした船と比べると、風上へ向かう効率が下がってしまいますね。
海面に応じて、ピンとくるロール量を探してみて下さい。
逆ジブの量は適切か?
逆ジブの量の話です。
人によって逆ジブはゼロでいいという人もいるみたいですが、個人的には、必要やと思ってるので、その前提で話します。
逆ジブを入れると、船の回転が助けられます。
なので、風が弱かったり、タック前に失速してたり(そもそも失速してる状態ではタックしない方がいいが)、波があったり、、
っていう場合に、逆ジブを長くしてあげると、船の回転が助けられて、失速を抑えることができます。
もちろん、この逆ジブも最小限でよいです。
長すぎると、船が回りすぎる原因にもなります。
強風やったら沈することもあるでしょう。
メインを出したか?
船が風上を向き新しいタックになった時、少なからず、船は減速しています。
なので、みかけの風は、引き込んできたメインに対して、後ろに回った状態(メイン引きすぎの状態)になっています。
ということは、メインを一回出して、風に合わせてあげる必要があります。
メインを出す量は適切か?
ではどれくらいメインを出したらいいのか?
メインを出す理由がわかっていれば、当たり前かもしれませんが、
どれくらい失速してるか?
風の強さはどれくらいか?
によって出す量が変わりますかね。
失速が大きければ、その分ちょっとだけ多く出したらいいということです。
また、無風時はたくさん出す(ガンネルアウトするくらいまで)と良いです。
フラットのオンデッキタックで、ブーム1~2本くらい出すイメージで僕はやってました。
↓参考までに下デッキタックの動画↓
メインを引くタイミングは適切か?
今度は、出したメインを引いてきます。
スピードが回復してきたら、今度は風が前に回るので、メインが緩くなりすぎてしまうからです。
では、どのタイミングで引いたらいいのでしょうか。
スピードが回復するタイミングですね。
スピードは、起こすときに回復するので、起こしながら引いてきたら良いでしょう。
同時に引くことで、セールであおることにもなって一石二鳥でしょう。
ジブの張替えでシバーしてないか?
逆ジブを切ったあと、新しいタックの下側のジブシートを引き、ジブを張り替えますが、
このとき、ジブは素早く引いてきましょう。
ここがゆっくりだと、ジブがシバーしてしまい、失速してしまいます。
当たり前っちゃ当たり前ですね。
ジブが入れば、メインにも風が流れるので、ジブをなるべくシバーさせずに張り替えるのはとても大事です。
起こし方は適切か?
起こし方もスピードの回復にとって大事です。
どたどた動いて船を揺らしてしまうと、船は失速してしまいます。
風上に船を揺らさないように移動して、丁寧に起こしてあげる良いと思います(僕は結構激しめかもしれないです、、、笑)
起こしすぎてないか?
起こすには起こしたけど、起こしすぎ、または、起こさなすぎになっていないかを意識しましょう。
特に、タックで起こしすぎると、大きく失速します。
クルーとスキッパーで息を合わせて、フラットもしくは微ヒールまで起こすということを徹底すると良いと思います。
タック後のメインは適切か?
ロールを起こしながら、メインを引いてきたときの、メインが適切かどうかはとても大事です。
新しいタックでのクローズにできるだけ早くなることが大切なので。
タックしたら必ずメインを確認して、クローズを走るのに適切なメインになっているかを確認しましょう(慣れてきたら、見なくても大体合うようにあるけど、見る方が無難)
ティラーを戻すタイミングは適切か?
ティラーを戻すタイミングが早すぎると、船は回ってなさ過ぎで減速してしまいます。
遅すぎると、回りすぎで、角度をロスしてしまいます。
適切なタイミングで舵を戻す必要があります。
風が弱かったり、波が悪いときほど、大きく回すと良いでしょう。
起こすときのティラーは適切か?
船を起こすときにのティラーの角度(押してるか、まっすぐか、引いてるか)の話です。
起こすときは、船はヒールしているので、ウェザーヘルムです。
なので、舵もそれに合わせないと、減速する原因になってしまいます。
基本的には、まっすぐちょい押しくらいで良いでしょう。
まとめ
ここまで書いてみると、たくさんあるように感じるかもしれません。
ある程度乗りなれている人にとっては、当たり前のことも多いかもしれませんが、
たまには基本に立ち返るのも大事です。
そのきっかけになってくれてたらうれしいです。
新入生とか、ヨットに乗り始めた人とかにとっては、多すぎやって感じかもしれないけど、ひとつひとつ課題を埋めて上達してほしいなと思ってます。
(ぐだぐだ書いたけど、1~2か月あれば、ある程度できるようになるんで、動作練なんてやらないでほかの練習した方がいいです笑)
感覚と知識と言語化③
このシリーズは、一つの記事に収めるつもりだったんですけど、気づいたら三つ目になっちゃいました、、。
前回までの記事の要点。
・知識量で勝敗は決まらないが、キーになるときもある
・あまりにも知識がないと、知らんうちに損することになる
・感覚はヨットにおいてクッソ大事
・そもそも感じるべき対象(知識)を知らないと、感じれるもんも感じれない
・感覚に頼らなくていい部分(例えばマーキング)を積極的に増やす
なんだかんだ言って、どうやったらもっと感覚を鋭くできるのかってことへの答えから逃げてますね。それをこの記事でまとめたいと思います。
感覚を言葉にする
まずは、感覚を言葉にすることの重要性について。
ここでの言葉っていうのは、ちゃんとした単語であったり、文章という意味ではありません。
京大だと、船の挙動や選手の体の動きが擬音語や擬態語で表現されることがとっても多いです。
たとえば、ぬるぬるハンドリングするとか、あいつのハンドリングはガチャガチャしてるなとか、ガツンと起こすとか、ぬるっと起こすとか、デュクシボンバーとか、、、笑
これらの単語はある特定の船の挙動や選手の動きを表してはいますが、他の人に上手く伝わっているかは怪しいところです。ただ、これに関しては、自分がわかってたら良いです。
ヨット上で起きるでき事すべてを、ちゃんとした単語を使った文章にするのは無理だからです。
表現できるとこは限られてます。なので、感覚的な表現に頼らざるを得ないとこ以外をちゃんとした文にするくらいでいいです。
例えば、
「急に風が落ちて、波だけ残ったときはヘルムがガチャガチャしちゃうなあ」
とか。
別にわざわざ言葉にする必要もないかと思うかもしれませんが、言葉にするメリットがちゃんとあります(と思う)。
言葉にするメリット①
まず一つ目のメリットですが、分析が可能になるということです。
なんとなくヘルムが変という表現よりも、ヘルムがガチャガチャしてるの方が、実際に何が起こっているか想像しやすいです。そうすると、じゃなんでそうなってるのか、とか考えやすいですし、そっから持ってる知識を使って改善策を思いつくこともあるかもしれません。
ヘルムのうちウェザーが強くてガチャつくのか、リーが入る瞬間があってガチャつくのか。両方なのか。それがわかれば、じゃあセッティングをこう変えようとか策が出てきます。
なんとな~くヘルムが変だなとかっていう漠然とした感覚を擬音語でも何でもいいから言葉にすると、思いがけない解決法を思いつくかもしれませんよ。
言葉にするメリット②
二つ目のメリットは、再現性が上がることです。
なんとなくヘルムが変だったという感覚をガチャガチャという単語でタグ付けしとけば、次に同じような感覚に陥った時に素早く対処することができます。たとえ、状況が多少違くても、もともとの経験をベースに考えることができれば、より早く策を講じれると思います。
これは、悪い感覚だけに限った話ではないと思います。
自分が調子良いときの感覚をとにかく、言葉にする。自分しかわからなくていいです。僕も、デュクシボンバーわっしょいブリブリとか、結構使ってました笑
そうすると、スランプに陥った時とか、テスト明けに久しぶりにヨット乗ったときとかに再現しやすくなるんじゃないでしょうか。少なくとも僕はそうでした。
そういうときにああこれこれこのブリブリ感とか言いながら、やってると感覚が戻ってくるのが速いですし、スランプに入っちゃったときとかほんと大事だと思います。
感覚をイメージにする
言葉にするのとほとんど一緒なんですけど、何かに例えて感覚を表現するみたいなことでしょうか。
例えば、マシンガンのように話すとかいったら、すげえイメージしやすいと思います。それと同じです。「飛びタックはロケットのように」とか、まじで僕は思って動作してました笑
とくに、新しい動作を身に着けるときに、これができてると上達がものすごく速いです。
一回うまくできた動きとか、うまい選手の動きをイメージとして持っとくと、再現性が上がります。これは、スポーツ心理学でも言われていることらしいです。
動作を逐一言葉にすることもできます。
さっきの飛びタックの例なら、船の角度が~くらいになったときにジブを切って後ろ脚を反対デッキに移動させつつ云々、、。など笑
でもそれを唱えながら動作なんてできっこないですよね笑
そん時に、とりあえずジブ切ってロケットみたいに飛べばいいっていうイメージがあればごちゃごちゃ考えずにその動きを再現しやすくなります。
そもそも人間の動きは無数の要素から成っていて、その中にも無意識の部分がたくさんあって、全てを言語化できるなんてことはあり得ません。全体としてただ何となくこうとか、そういうことってすごく多いです。
人の顔を認識するときに、目の形がタイプAで、口はタイプWで、眉毛がzタイプだから、これは高校の時の先輩の鈴木さんだなとか、やってる人がいたらキモイです。ただ全体として、その人の顔を認識していますよね普通。
選手を評価するときもそうです。すべての要素をつぶさに洗い出して分析することは不可能だと思います。
すこし話がそれましたが、感覚の全ての要素を洗い出して言葉にするのはむずいです。だからこそ、全体として把握するための方法としてイメージを持っておくというのはありなんじゃないでしょうか。

感覚を聞きだして自分の形にする
これは、自分の感覚じゃなくて、他人の感覚です。
上手い人がどうやって何を感じているのかを聞き出す能力と、それを自分がわかる形に変換する能力があると、セーリングのレパートリーが増えます。
京大のエースは感覚抜群セーラーでしたが、語彙力は圧倒的に少なかった。。。とにかくボンバーしか言わん。その説明は擬音語で溢れかえっていて、理解できるときもありましたが、だいたいの人間には理解できないことばかりでした。
ただ、他大にめちゃくちゃ翻訳能力が高い同期がいて、彼はその擬音語まみれの説明を自分が理解可能なものにして吸収してました。
これってかなり大事なことなんじゃないでしょうか。
上手い人が何を感じてるか、その人自身がうまく説明できなくても、できるだけ近い形でその感覚を吸収出来れば、自分の糧になります。
自分の感覚やほかの選手と比較することもできるようになるでしょう。
ちなみにその同期については、この記事で触れていますよ~
まとめ
以上このシリーズのまとめとして、言語化について書きました。
感覚を言葉やイメージにすることで、
・分析が可能になる
・再現性が上がる
・自分のセーリングのレパートリーが増える
というようなメリットがあります。
ヨットは、知識量が重要になってくる競技であるとはいいましたが、その知識をうまく使うためにも、感じたものを言葉にできると強いと思います。
感覚→言語化→知識と照らし合わせる(分析)→解決策→試す→感覚・・・
といった感じでしょうか。言語化は、ヨットで前を走るために必要な知識と感覚をつなぐ架け橋になると僕は思っています。
自分センスないわああて思ってる人が少しでも希望を持ってくれたらうれしいです。
感覚と知識と言語化②
前回の記事では、知識についてばっかり書いてしまいました。
知識で差が出ることもありますと言いました。ただそんなレベルで、インカレの勝敗を決するような技術力の差は生まれません。
スピードがあればメインを引き込むという知識があっても、自分が速いか遅いか感じ取れなかったら、いつ引き込んだらいいのか知ることはできません。
ある程度の感覚がなければ、インカレで必要とされる技術力に達することはできないと、個人的には思っています。
でも、この感覚っていったいなんなんでしょうか。感覚と聞くと、個人差があって、生まれつきの能力で、鍛えるのが難しい、そんなイメージがあるかもしれません。それを否定するつもりもありません。やはり、生まれつきセンスがいいというか、感覚の鋭い選手はいるものです。
ただ、ことインカレというか、学生レベルに限って言えば、生まれつきの感覚がないと前を走れないなんてことにはならないです。要するに、持って生まれた「感覚の鋭さ」の差をどうやって埋めるか、どうやって短期間でより多くのことを感じれるようになるか、が大事になってきます。
先天的な能力を言い訳にするのは個人的に非常に気に食わないですし、このブログの趣旨にも反します笑
この記事は、自分のセンスのなさを言い訳にしていたり、感覚ってどうやったら研ぎ澄まされるんやろって悩んでる人、そんな人たちに向けて書きます。
ヨットにおける感覚
ヨットにおいて、重要であろう感覚には何があるでしょうか。
一番すぐ浮かぶのは、「スピード感覚」。これがないと、十分な艇速は出すことができませんね。ハンドリングなんて船のスピードによって変わるはずなのに、そのスピードがわからんかったら、正しいハンドリングなんてできるわけがないです。
他には、どんな感覚があるでしょうか。例えば、スタートラインを見る能力。自分がスタートラインまであと何艇身なのか、見通しを使わずに言い当てるは思っているよりも難しいです。そして、スタートにおいてめちゃくちゃ大事な感覚です。
他にも、リフトヘダーを感じるとか、セールのパワーを感じるとか、ここぞのパンピングタイミングを感じるとか、ヨットにはほんとにたくさんの感覚があります。
ここで、全て挙げきることはできませんし、多くを列挙することに意味はありません。
とにかく数え切れないくらい多くの感覚が、その選手の動きを作っているのです。

それでは、数えきれんくらいの感覚をどうやったら身につけれるのでしょうか。まずは、知識との関係を見てみます。
感覚と知識
たとえば、ヨットを始めたばかりの1年生はヘルムがわかりません。ただなんとなく、だけどしっかりと強く舵を握る。まっすぐ走らせようとして、ヘルムなんかお構いなしに舵を使います。
そこで、先輩から、「ヘルムは大事や、もっとヘルムを感じろ」と怒られて、わからないなりに感じようとするわけです。そうすると次第に、これがウェザーかとかわかるようになってきます。そうこうしてる間に、この船はウェザー弱いなあとか言い始めるわけです。
極端な話ですが、ヘルムというものを知らなかったら、こんなことにはならないと僕は思います。ヘルムは、感じ取る対象になりえません。たしかに、その手で感じているにも関わらずです。
今、僕はパソコンのキーボードをたたいていて、確かにキーボードの表面を感じていますが、それを感じているとは思っていません。ただ、この表面の感触が世界で一番の質でほんとに滑らかで人類史上最高の品質やと言われたら(そんなことはあり得ませんが笑)、急にその表面の感触を意識し始めます。要はその知識を知った瞬間から、キーボードを感じ始めるわけです。
感覚にはそういう面があると思います。
要は、世界一の品質という知識(さっきの例なら、ヘルムが大事という先輩からの知識)を知って初めて、今感じているもの(キーボートとかヘルム)が、感じるべき対象に変わるのです。何言ってんだって感じですね笑
ぐだぐだ書きましたが、知識がないと、感じれるもんも感じれないってことが言いたいわけです。
同じことを言いますが、だからこそ、知識は大事です。
普段の練習で適当にやりすごしていること、それは、実はトップセーラーがシビアに感覚を研ぎ澄ましていることかもしれませんよ。
感じれないのではなくて、感じる対象になっていないだけかもしれませんよ。
これが生まれつきのセンスによるものだ、なんて誰が言えるのでしょうか。
ほんとに感じようとしてる?
上では、感じる対象をまず知るということを書きました。
例えば、クローズで波が前から来た時、それをヘルムから感じ取ったことはありますか?
もしなかったらそ今まで感じる対象でなかったもんが、今この瞬間に感じる対象になった、ということです。
それはいいとして、感じる対象があったとして、みんなどれくらいそれをシビアに感じようとしているでしょうか。
スタートの微速前進のスピードが感じ取れないんですよって人はたくさんいます。
だからスタート練習したいんですよ~って人もたくさんいます。
じゃ実際にどうやったら微速前進を感じれるのかってことについて、ほんとに突き詰めて考えている人はあんまりいないです。たぶん。僕の感覚的にですが笑
感じれている人がいても、「いやああいつは感覚が鋭いからなあ」とか、「やっぱセンスがちげえわ」とか言って片づけてないですか?
上手い人がどうそれを感じているか聞いてみたことはありますか?
上手い人がどこを見ながら微速前進を作っているか観察したことはありますか?
上手い人が、どうやって座っているか、考えてみたことはありますか?
感じるべきものを感じれないのは仕方がないことです。ただ、漠然と乗っていてもそれを感じれるようになんてなりません。
「感じたい」という強い思いをもって初めて、上に書いたような具体的なアクションが出てきます。得た情報が今度は知識となって、自分が感じる上でのヒントになっていくわけです。
そこらへんにヒントはたくさん転がっています。感じれない理由、少なくとも現状にずっと甘んじている理由は特に見当たらないわけです。
見える化
そんで、感じるためには、感じたいというパッションとそこから派生する具体的なアクションのほかにどんなことができるのでしょうか。
ここでは、見える化ということで、感覚に頼らない方法を書きます。
もう大体察しはついていると思いますが、例えばマーキング。
感覚的にロープを引くんじゃなくて、マーキングに基づいてロープを引けば、ミリ単位で正確なトリムができます。そんなとこは感覚に頼らなくてもいいわけですし、何なら、速いと「感じた」セッティングをマーキングを使うことで正確に再現できるわけです。

他にも、スタートラインの見通し。
感覚的にラインまでの距離がわからなくても、見通しが見えれば、正確にラインを把握できます。いつも見えるとは限りませんが、見えれば、感覚なんかよりもはるかに正確です。
こういった類のことはほかにもたくさんあると思います。
スタートラインが見えないと加速できないと思っていませんか?
そんな人はぜひこの記事を読んでみてください。感覚に頼らない方法は考えていないか探していないだけで、いくらでもあるはずです。
感覚は大事ですが、感覚に頼るべきものが多いと、それが狂ったときに修正するのが難しいです。ほんとに大事なところに感覚を取っておいて、それ以外で補えるところは補っていった方が余程賢いと僕は思います。
こんなんセンスとかまじで関係ないです。
まとめ
この記事では、
ヨットの感覚ってなんなんってとこから始まって、感覚と知識の関係、感じるべき対象がわかってないとそもそも始まらないって話、感覚は大事やけど実は感覚に頼らなくてもいけちゃう部分もたくさんあるんだよってことを書きました。
このシリーズの最後は、知識と感覚の橋渡しをする言語化について書きたいと思います。
感覚と知識と言語化①
突然ですが、
みなさんの周りには、知識を詰め込みまくった頭でっかちセーラーが多いでしょうか?
それとも、
知識とか理論とか関係なく、感覚的に走っているセーラーの方が多いでしょうか?
すべての選手がこの2パターンに分類されるわけではありませんが、少なくともこういった類の選手は存在すると思います。どっちのタイプの方が速いんでしょうかね、、。気になるところです。
この記事では、知識と感覚がヨット競技にどう影響してて、それぞれどう大事なのか。
そしてその二つをどうやって結び付けたらいいのか。
そんなことを見ていきたいと思います。
この記事の内容は、短期間で成長するために非常に役立った考え方でもあります。こちらの記事も参考にしてみてください。
ヨット競技の特徴
ヨットはほかのスポーツに比べて、道具の重要性が高い競技です。
陸上や水泳が自分の身一つで競技しているのと比べたら、その重要性は一目瞭然です。
だから、必然的に道具について知っていないといけない。
どこをいじったら何が変わるかとか、知らないと何も始まりません。複雑な原理すべてを知っている必要はないかもしれないけど、最低限のベーシックな理論くらいは知ってないと話になりません。
また、他のスポーツに比べて、知っている知識の量・質がものをいうスポーツでもあります。
コース取りのセオリーを知ってるか?とか、スタートで大事な要素を知ってるか?とか、、知っていた方が良い知識を挙げだしたらきりがありません。
この記事で、知識量の大切さについて詳しく書いています。
しかし、知識だけ詰め込んでも、良い順位を取れるわけではありません。
実際に船に乗って、風を感じて波を感じて、船の挙動を感じられないと、速く走れません。
要は、感覚が重要です。
では、この知識(理論含む)や感覚はどうヨット競技に関わっているのでしょうか?
知識
知識といっても幅が広いです。
ヨットの部位の名称を知っているか(ジブとかメインとか)なんかのド基本の知識から、
ヒールをつけるとウェザーヘルムがかかるとか、
クローズは基本的にフラットで走るとか、
船のビルダーによって船の重心がどう違うとか、
去年の全日本チャンプの艤装はここが特殊だったなどのマニアックな知識もあれば、
琵琶湖の南風はこの吹き出し口からのブローが強いなどの、くそローカルな知識もあります。
ここには少ししか挙げませんでしたが、ヨットにはほかにもいろんな知識があります。
ここでは上の記事とは違った切り口で知識ついて考えてみます。
それらの知識を大まかに分けると、
①誰でも知っている知識
②知っている人もいれば知らない人もいる知識
の二つがあります。当たり前すぎますね。以下、この二つの分類に沿って見ていきます。
①誰でも知っている知識
誰でも知っている知識というと、かなり大げさにも思えますが、例えば、スタートは五分前からシークエンスが始まるとかは一度でもレースに出たことがあれば全員知っている知識ですし、極端な話、470を知らない人はいないでしょう。
馬鹿にしているかと思うかもしれませんが、この知識で成績に差は出ません。
ただし、この「誰でも」という単語の前に例えば、「京大ヨット部の誰でも」というように、チーム名をつけてみるとどうなるでしょうか。
チームの中の人間なら、「誰でも」知っている知識。
でも、この知識はほかのチームは知らない可能性がある。
例えば、琵琶湖の特徴は京大ヨット部の中では共有されているけど、関東の大学ではそんな知識は全く必要がないし、共有されているわけがありません。
その状況で琵琶湖でレースをしたら、多少なりとも琵琶湖を知っている方が有利になるでしょう(それだけで勝てるわけではありませんが)。
これが、②の知っている人もいれば知らない人もいる知識の具体例です。
②知っている人もいれば知らない人もいる知識
上では、知っているチームと知らないチームの例を出しました。
これが多少なりとも、ヨット競技に影響を与えるのはわかり切っています。
昨年のインカレ470級は慶應が優勝しました。
彼らは10月に開催地の西宮に入ってひたすらセパレートして、海面調査をしていました。
その結果は、みなさんご存じの通りです。
知っているチームと知らないチームの例は、特定の海面情報に限った話ではありません。
詳細は上の記事に譲りますが、今年の春に関東のある大学の練習を見に行った時のこと。
なぜか、レース艇が原始的な艤装スタイルのまま使われていました。
関東には、そこらへんに速い社会人の方がたくさんいて、船を見せてもらえるにも関わらず、です。なぜ、そんな艤装も知らないのか、とても不思議に思ったのを覚えています。
ただ、その艤装を知っているだけでパフォーマンスが上がることは確実でした。それを知らないということ。その時点で自分たちがどれほどもったいないことをしているのかにすら気づくことができません。

だから、知識は大事です。
今自分たちが知っている知識の量や質は十分なものなのでしょうか?
それを一度でも疑ったことはありますか?
いま正しいと思っている知識は本当に正しいんですか?
全国のトップレベルの選手の走り方を知っていますか?
チームが知っている知識量というのを最低限増やしておかないと、土俵にすら立てないです。それは、あらゆる面においてです。ヨットに限らずです。インカレを見据えた場合、求められる力は多岐にわたります。
後輩への接し方は、本当に今のままでいいのか、もっと良い方法があるんじゃないか、とか疑ったことありますか?
知ってるだけで実践しなければ意味がないのは重々承知です。
ただ、知っていないとそもそも何も始まらないということもあります。
知識というものの重要性が少しでも伝わっていたら幸いです。
まとめ
本当は感覚の話もしたかったんですけど、知識について書いてたら長くなってしまいました笑
ヨット競技は、道具を使うスポーツであり、知識と感覚が非常に重要になります。
そのうちの知識というもので、差がついてしまったら、その時点でスタート地点に差が生まれてしまいます。だからこそ、そんなしょうもない次元で勝敗が決さないでほしいと思っています。
もちろん、知識だけで、勝敗が決するわけではありません。
そこらへんは次の記事で見ていきたいと思います。


