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もと京大スナイプリーダーが技術・チーム作りを発信

クローズでパワーを増す方法たち

 

アフタープラー

まずはアフタープラーについて書きます。

 

アフターを入れると、マストが後ろに引かれて、

 

・フォア・サイドテンションが上がる

・ベンドが減る

 

ということが起きます。

 

その結果、

 

・リグのテンションが上がるので船が硬くなる

・メインが閉じて深くなる

・サギングが減る

 

ということになります。

 

メインのシェイプの変化

アフターを入れたときに、実際にどんな感じでシェイプが変わるのか見ます。

 

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琵琶湖アフターなし(レーキ,サイド,ベンド:6565,20,48)

アフターなしだとこんな感じですね。

とてもヒールしてますね。

もっとハイクアウトした方が良いですね。

 

シェイプは下からきれいに開いています。

 

しっかり引き込めていて、セールを浅くできています。

琵琶湖のフラット海面に適していそうです。

 

ここからアフターを入れるとどう変化するでしょうか。

 

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蒲郡アフターあり(レーキ,サイド,ベンド:6565,20,48)

 

この頃はハイクアウトにはまっていたので、良くハイクしてますね。

ちなみに、この一か月後くらいにボディパンプをとられて、動くのを辞めました笑

 

さっきよりも、セールの中部から下らへんが閉じているように見えます。

そして、深くなっています。

 

蒲郡は小さなチョッピーな波が多かったので、アフターを少し引いた方が速かったです。

少しってすごく曖昧なんですけど、マストの前後位置で5㎜くらいでしょうかね。

 

アフタープラー、フォアプラーの引き量を可視化できるようなシステムについては、気分が乗れば記事にしたいと思います。

 

 

いつアフターを使うのか

アフターをぶち込んだ時のセールの見た目はまあだいたいこんな感じですね。

 

ではいつアフターを入れたらよいのでしょうか。

 

さっき琵琶湖では、入れていませんと言いました。

琵琶湖は波がなくて、波による失速がないので、パワー(スピード)よりも角度を重視した方がVMGがいいからです。

 

蒲郡は逆にちゃぷちゃぷしてる時があって、そのときは波に負けないようにパワーをつける必要があります。

そのためにアフターを入れます。

船が硬くなって走りやすくなります。

 

あとは、バングシーティングの時に、過剰なサギングを防ぐために入れます。

 

と、これくらいなんですが、パワーが欲しかったらアフターを入れたら良いということでもないので、少し補足します。

 

というか、ここからが本題ですかね。

 

クローズでパワーを増す方法

クローズでパワーが欲しい時はたくさんあると思います。

 

その方法について掘り下げます。

 

1.アフター

アフターを使いだすのは、僕の場合、オンデッキ以上くらいからでした。

これはチューニングやペア体重にもよると思うのであくまで参考程度に。

 

アフターを入れれば、確かにセールは深くなって、パワフルになりそうです。

 

でも、風が弱ければ、閉じた深いセールに風は流れません。

 

また、フォアテンションも上がって走りにくくなり、詰まっているような感覚を覚えると思います。

 

それがなくなって、うまみが出てくるのが、僕らの場合オンデッキくらいだったということです。

 

それ以上になれば、メインにきれいに風が流れますし、それくらいの風ならメインシートテンションによって、フォアテンションはある程度高く維持されているので、フォアテンションも気になりません。

 

では、それ以下の風の時はどうしたらパワーアップできるのでしょうか。

 

2.テンションを抜く

風が弱いときにやっていたのは、テンションを抜くという作業です。

 

たとえば、風が落ちたとき。

こんなときは、波だけ残ってるのに、風は弱いみたいなとても走りにくい状況だと思います。

 

このコンディションでは、波に叩かれず失速しないように走るのが大事なので、角度よりもスピードを重視します。

 

そんときに、テンションを抜けば、

 

ベンドが減ってメインが深くなる

フォアテンションが緩み、ジブに風がたくさん入る

サイドテンションも落ち、船の挙動が柔らかくなる

 

などが起きます。

 

より深いセールで緩く走れるようになります。

 

また、このコンディションでは、ヒールをつけると走りやすいです。

波による失速を抑えられ、パワーが増したように感じると思います。

 

3.ピンアップ

風がある程度吹いてきて、ピン上げてトラベラーしてたら、風なくなった!的なことは多いですね。

 

こんときにピンを上げたままでも意外と走れることが多いんじゃないでしょうか。

 

風が途中で落ちると、波だけ残って、走りにくくなります。

 

このときに、ピンを上げていると、ニュートラルピンの時と比べて、

 

ベンドが少ない

リグのテンションが緩い

レーキが高くウェザーが弱い

 

というようなうまみがあります。

 

ベンドが少ないので、メインは深くなりますし、テンションは緩いので緩く走れますし、ウェザーが弱いので、波によって過剰にティラーを持っていかれにくいです。

 

これは結構使えます。

ビッグフリートの時なんかも、船の引き波で波が汚くなるので、このセッティングにしておくと走りやすかったりします。

 

僕は蒲郡の個人戦はピンを上げて走ることが多かったです。

我らが京大のホープも、オンデッキ以下の東日本スナイプでピンを上げてトップホーンを鳴らしています。

 

試す価値はあると思います。

 

4.テンション増し引き+アフター

最後は、マシマシです。

二回生のとき、慶應のパイセンに教えてもらいました。

 

これを使ってたのは、フルパワーくらいの風域で、うねりがでかいときや、波がまじで汚いときです。

 

このコンディションでは、波によって船のパワーが大きいくなったと思ったら、またすぐパワーがなくなってうわああああみたいなことになりがちです。

 

一番パワーを失ってるときに、フルハイクできるパワーが欲しいわけです。

 

だから、マシマシにします。

 

テンションを増し引きするので、ベンド・リグのテンションともに増えます。

 

そこにアフターを入れるので、正味の結果として、リグテンション爆上げの状態をゲットできます。

 

船は鬼のようにカチっとします。

 

フォアテンションも爆上がりするので、フルパワーくらい吹いていないと走りにくいですが、波の谷間でもしっかりとハイクアウトできて、自艇だけ安定感抜群でぐんぐんバウを出せます。

 

ぜひ試してみて欲しいです。

 

 

他にもパワーを増す方法は絶対あるんですけど、僕が実感できて実際に使うことができたのはここらへんなので、これ以上は紹介できないです。

 

別の記事で、他のセーラーがどうやってるか、みたいなことも書くつもりなので、乞うご期待ください。

 

 

結論

パワーが欲しい時は、

コンディションに応じて、アフターとテンションをいじくる

 

ということですね。

 

おおざっぱでごめんなさい。