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スナイプは吹いたら、ピンアップ?ピンダウン?

今日は、吹いてきたときにピンを上げるか、下げるかという問題について考えます。

 

470は吹いてきたら、ピンダウン一択だけど、スナイプは上げる人もいれば下げる人もいるし、良くわからん。いろんな情報が錯そうしていて、結局何が正しいのかわからんみたいなことが起きていると思います。

 

この記事では、僕が自分なりに納得した、まあ仮の答えのようなものを書きたいと思います。スナイプ界では、去年のトレンドが今年は全然通用しないなんてことはあるあるなので、お前の考えなんて時代遅れやんけと言われる覚悟はできております笑。そんなときは、そっと教えて下さると嬉しいです。

 

それでは、僕が出した一応の結論を書いていきます。

 

 

前提

まずは、推論ではなく、前提となる知識から。

 

ブームを下に下げる効果を持つのは、メインシートとバングですね。

 

メインシートで下げた場合は、ブームはほぼ真下にのみ引かれます。なので、サギングをすることがありません。というか、サギングは減ります。

 

一方、バングで下げた場合は、下に下げると同時にマストを前にも押すので、マストが曲がって、サギングします。

 

ということで、トラベラーで走る場合(メインシートでリーチを作る)とバングで走る場合(バングでリーチを作る)で、メインのリーチを作っている方法が異なり、吹いてきたときのチューニングも変わってきそうですね。

 

 

トラベラーシーティング

まずはトラベラーシーティングから。

 

トラベラーの場合、バングシーティングと比較して、ブローのインパクトを容易に逃がすことはできません。なので、トラベラーシートを出す以外の方法でもデパワーというか、ブローに耐えないといけないです。

 

その方法の一つがハンドリングです。この記事はハンドリングについてではないので、割愛しますが、バングシーティングの方がまっすぐ走ろうと思ったら走れ、トラベラーはどちらかというとうねうね走る技術がいるのではないでしょうか。

 

もう一つの方法は、サイドベンドです。

 

ブローが入った時に、マストが横へ曲がって風を逃がしてくれたら楽に走れます。

このサイドベンドが少ないと、なんかデッキが硬いなあ、と感じると思います。

 

スナイプのサイドベンド量は、主にサイドテンションが決定しています(ここについて詳しく知りたい人は、レングスの記事参照)。

 

ということで、トラベラーで走るときに、サイドテンションを落として走れれば、軽く走れるということになります。

 

 

テンションを抜いて走れば良いのかというとそうでもないですね。

何も変えずにテンションだけ抜くと、レーキも同時に下がって、ウェザーが強くなります。トラベラーを使ってうねうねしたいのに、ウェザーが強くて、舵が重かったらその走りはできないですね。

 

だから、ピンアップをします。

 

ピンを上げてテンションを抜き目にすれば、サイドテンションは落ちているけどレーキは高く維持でき、適切なウェザーで走ることができます。

 

この時同時に、プリベンドとフォアテンションも下がります。しかし、トラベラーを使う様な風域なら、マストは十分に曲がるので、プリベンドは関係なく、またメインシートは鬼のように引かれているので、サギングすることはありません。

 

とういことで、トラベラーで走る場合には、ピンを上げれば、すべてが理にかない、速そうですね。

 

 

バングシーティング

次にバングシーティングの時です。これは諸説です。

 

実際に自分がバングで走っていた時も、ピンを上げてバングシーティングしていた時(全日本個人戦)もあれば、ピンを変えなかった時もあるし、下げて走っていた時(全日本インカレ)もあります。

 

それぞれに良い悪いがあるので一つ一つ見ていきます。

 

 

ピンアップバング

ピンを上げた状態でバングシーティングをした場合、バングでサイドテンションが落ちるので、トラベラーほどテンションを抜いて走ることができません。

 

また、テンションを抜くとサギングが大きくなりますが、それをメインシートテンションで是正できず、角度が取れなくなります。

テンションが抜けないので、レーキは高くなり、ウェザーは減少します。

 

これだけ書いているとピンアップバングくそじゃね??ってなってると思います。

 

でも、ピンアップしてバングシーティングして速かったときがあります。蒲郡の全日本個人戦です。風は7mくらいだったかな。波は前からきれいに入ってくるような海面。

 

これくらいの風できれいな波だと、メインをそこまでこまめに出さずに走れるし、ブームはセンター付近に維持されています。

 

センター付近にブームが維持できると、ブームはメインシートテンションとバングの両方で下に引かれています。バングで下に引かれる割合が小さいので、バングシーティングにも関わらずサギングはほぼしません。

 

さらにノースのセールはトラベラーを前提に作られているので、トラベラーに寄せたバングシーティングだとトラベラーのようなシェイプを出すことができます(以下画像参照)。

 

レーキは増えているのでウェザーは適切に弱くなっていて、前からの波によるヘルムのガチャつきを抑えることができ、軽いハンドリングで走ることができました。

 

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蒲郡(レーキ,サイド,ベンド;6575,18,40)

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西宮(レーキ,サイド,ベンド;6575,18,40)

ここまで書いてて、トラベラーに寄せるくらいならトラベラーで走れよとか思うんですけど、、笑。

 

バングに慣れてる人で上のような海面で速く走りたければおすすめします。

 

なんせ、バングシーティングはメインに体重かけれてハイクアウト楽ですからね。

 

 

ピンニュートラルバング

走ってる感覚は、ピンアップとピンダウンのちょうど間ですね。

 

当たり前か。

 

どっちかに特化しているわけではないけれど、外れは少ないし、そんな爆発的に遅くはないです。

 

良くも悪くも無難なセッティングなので、風に強弱があるときなんかはめちゃめちゃ重宝します。琵琶湖の速い社会人の方なんかは、ピンを変えずにニュートラルピンだけで走ってバカ速かったです。トラベラーなら絶対できませんが、バングだからこそできる芸当ですね。

 

速かったシェイプは下のような感じです。

琵琶湖や強弱のある日の西宮で使ってました。

 

なんせ、ピンをいじらずに、バングをぶち込めば良いので楽です笑。

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琵琶湖(レーキ,サイド,ベンド;6565,20,48)

 

 

ピンダウンバング

これは引退間近に使うようになりました。

 

ピンアップして速かったのでそれに拘って、その先入観でなかなか手がでませんでした。

 

ピンアップはブームをセンター付近に維持できる風域では速いです。

ただ、それ以上吹いてきてブームが外に出てくると、メインシートテンションが落ちて、ほぼバングだけでブームを下げているような状態になります。

 

この状態で、メインのリーチにテンションを入れようと思ったら、バングを鬼のように引かないといけませんが、そうすると適切なリーチテンションに達する前に、マストがオーバーベンドして、メインがブレイクしてしまいます(ピンアップしてレーキが上がると、デフォルトのブームの高さが高くなりたくさんバングを入れないといけない)。

 

また、ブームが外に出ているにも関わらず、レーキは上がっているので、ジブとメインのオーバーラップは大きく、容易にブローで切りあがってしまいます。

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ピンアップして吹きあがった時のクソシェイプ

 

これくらい吹いてきたときに、バングで走ろうと思ったら、デフォルトのブームの位置がある程度下にある必要があります。下にあることによって、バングを入れる量が減り、ブレイクする前に適切なリーチテンションを作れます。

 

また、メインを出していっても、ローレーキのおかげでジブメインのラップは小さく、適切にデパワーできます。レーキが下がることによって、ウェザーヘルムは増すはずですが、ブームは外に出ているので関係なく、それを上回るメリットを得れるでしょう。

 

僕は最終的に、7-8m以上吹いてきたら、ピンダウンして走るようになり、最後の西宮インカレも吹いたらピンダウンして走っていました。

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西宮 ピンダウン

 

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西宮 ピンダウン2

結論

トラベラー:ピンアップ

バング:安定した中風ならアップ

    強弱大ならニュートラル

    強風ならダウン

 

これはほんまに僕の持論にすぎないので、まじで参考程度にしてくださいね。